俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.011
初体験!
ヨーロッパB-Boyシーン!
スイス到着後まもなく、我々は最初の目的であるドイツのイベントへ向かう事になる。
場所はStuttgart(シュトゥットガルト)にあるBoeblinge(ベーブリンゲン)という町のホールであった。
俺たちは、Remy、Montyと車で会場に向かった。
始めてヨーロッパに行った俺にはちょっとした衝撃だったが、スイスからドイツに国境を超えるのに、パスポートのチェックなどは無し!国境には一応ゲートがあり、警察官(?)が入手国のチェックをしていたが、ドライバーがIDを見せるだけすっと通過できるのである。後部座席にいた俺たちはノータッチ。こんな簡単に国境を越えられるとういのが島国の俺からしたら驚きであった。
まだEUという制度がスタートする前であったが、(ちなみにスイスはEUには参加していませんが)ヨーロッパ諸国はこういう感覚でつながっているんだなという事が実感できた。
国は違えど、同じ大陸上の国々という事で、恐らく物流だけではなく、文化の流通もしやすい環境にあるのだなという実感があった。
事実、今回我々が訪ねたイベント、ULTIMATE B-BOY SESSION には、ヨーロッパ各国から多くのB-Boy達が参加しておりました。
今回は自分達がバトルに参加するわけではなく、見るだけなので、かなり気楽だった。しかし、ヨーロッパ対アメリカのバトルのメンバーが本当に凄いメンツなので、俺の気持ちはかなり高揚していた。会場に着くと、会場周辺ではやはりこの「ヨーロッパ対アメリカのバトルはいったいどっちが勝つのか!」という話題で持ちきりであった。
*冒頭の写真センターが私:宮田健男/右:Monty/左:佐久間さん/後:Remy(ツヨシは写真を撮ってくれてるのか、写っておりません(笑))
会場オープンで中に入る。
早速ロビーにいたMaurizio(マウリツィオ)に遭遇。今回本物に会うのは初だったのでテンションが上がる俺(笑)!
ホールに入ってみるとそこはかなり広い劇場であった。
1階はオープンスペースであり、2階以上が客席となっており、舞台もあるホールである。当時、日本はもちろん、アメリカや他のアジア諸国においてもこのような規模で行われているB-Boyのイベントは存在すらしなかった。
1階のオープンスペースでは早速ヨーロッパ各地から集まったB-Boy達によるサークルバトルが始まっていた。この日俺はもっぱら見るほうに徹したのであるが、パワームーブに関してはかなりレベルが高かった。見たこともない若手のB-Boy達が競って技を見せあっていた。会場には徐々に人が集まってきて、自然と白熱した雰囲気になっていった。
1つ印象に残っているのは、別のサークルを見ていたツヨシからの報告。
「エアートラックスを空中で2周回ろうとしていたB-Boyがいた!」
という話しである。
これは伝説のN.Y.のB-Boy、ジャーマンがやっていたと伝え聞く幻の技”WARP(ワープ)”である。(空中で2回転してから地面をキャッチするという伝説の技)
この話だけでも、当時のヨーロッパのB-Boy達のパワームーヴのスキルの高さがうかがい知れると思う。
さて、イベントはまずメインコンテンツの1つでもあるOne on One Battleからスタートした。これは読んで字のごとく、1対1のブレイキングバトルで、トーナメント方式で優勝者を決めるものである。スパルタニックからも最巨漢であるMontyがこのバトルに参加した。結果は残念ながら前述したスイスのタフキッドに負けてしまったが、それもやむを得ない。何故ならタフキッドは今回のソロバトルで優勝を納めることになる、ヨーロッパを代表するB-Boyだからだ。
彼の繰り出すパワームーヴのコンビネーションは世界的に見ても突出しており、その鮮やかな流れは驚くべきものがあった。例えば、1990→フレア→1990→フレア等のコンビネーションは見事なまでであり、しかも彼はそれをスイッチ(回転方向が両方向)でやってのける逸材である。
ちなみに当時はこのようなコンビネーションをやるB-Boyは数えるほどしかいなかった。この後すぐにBASEL CITY ATTACK の BENY(ベニー)とTUFF KID(タフキッド)の2人はあり得ないほどの素晴らしいパワームーヴコンビネーションで世界を席巻することになる。
白熱したソロバトルの後、いよいよ待ちに待ったメインイベント、ヨーロッパ対アメリカが始まる。
しかしながら、結論からいうと
「このバトルは行われなかった」
いや正確に言えば中途半端に行われた。
ヨーロッパからのメンバーはあのファミリーのイブラヒムを欠き、アメリカからはKujo(クージョー)とManOne(マンワン)の2人のみが参加。正確な理由は分からないが、Ivan(アイヴァン)、Orko(オルコ)はドイツ入りすらしていなかったようだ。
ともかくそれでもバトルはスタート。
ヨーロッパサイドも始めMaurizio(マウリツィオ)を欠いた状態でスタートした。もちろんフルメンツでのバトルを見たかったのが正直な気持ちであるが、この面子でも十分に見応えがあった。
中でも俺を本当に驚かせたのはKujoの常識外れなムーヴの連発だった。この後世界的にも有名になるKujoではあるが、自分は目にするのが初!彼の動きは全てクレイジーかつ独特であり、まったく見たことも無い新しいスタイルであった。特に上水平(体を地面と平行に手だけで立つ状態。要するに腕立て伏せの格好で足が浮いている状態)に代表される不思議な無重力感のある動きには圧倒されるものがあった。
例えば1990→上水平というコンビネーション。
1990から上水平に降りていく状態はまるでUFOが重力に反して浮いているような感じである。細かい技の話しは切りがないので割愛するが、とにかく彼の動きには本当に驚きの連続であった。
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その後はゲストであるNew York City Breakers(ニューヨークシティーブレイカーズ)やあのRapの神様であるKurtis Blow(カーティス・ブロウ)
そして日本にBreakin’ブームを起こしたAir Force Crew(エアフォースクルー)がLiveやShowを行い、参加者も入り乱れてのバトル?というよりはフリーサークルの様な状態になり、そのままバトル三昧でイベントは終了まで続いていった。
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とにかく踊る!
とにかく自分たちが参加して踊る!!
当時の日本とは大分感じが違う、熱いB-Boy達の集まり。
初体験のヨーロッパのB-Boyイベントは、その”熱”を強く感じるイベントであった。
*ヨーロッパ対アメリカのバトル。1:24:45緑のパンツのKUJO(アメリカ)がやった上水平のコンビネーションを始めてみて驚愕!
*1:30:00 ソロバトルの決勝 Tuff Kid(スイス)vs Angelo(ドイツ)
End of The Spartanic Rockers Story Vol.011
To be continued
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