創始者”DEF ICE” と初体面!! Spartanic Rockers Story Vol.012

俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.012

創始者”DEF ICE” と初体面!!

ドイツのイベント、”URTIMETE B-BOY SESSION”(アルティメット・ビーボーイ・セッション)の興奮も冷めやらぬうちに、今度は自分たちが挑戦するバトルイベント、”URBANSKILL”(アーバンスキル)へ向けての練習が始まった。
“URBANSKILL”という大会は、スイスで開催される同じくB-Boyのイベントだが、メインコンテンツはクルーバトルであった。

 

ここにいよいよ我々もSpartanicRockers 、チームとして初参加するのである。しかもチームとはいえ、一緒にやるのは全く始めての俺達5人だ。特にダンスに対する考え方が全く違うスイス、日本のジョイントはかなり大変なものがあった。まず構成や曲作りからのスタートである。今回俺達は、日本人のルーティーンの音に関してはあらかじめ「クリエイター」というヒップホップの曲に決めていった。これは確かツヨシが使いたいと言ったからだったように記憶している。しかし、それ以外は全くの白紙状態。話し合いの中、Spartanicの生みの親であるDEF ICE(デフ・アイス)からオリジナルの楽曲を提供してくれるというオファーがあった。
早速俺達5人はICEの家を訪問することになった。彼は現在は踊りから遠ざかり、音楽活動のほかデザインなど、アーティスト的な活動をしていると聞いた。古くからのスパルタニックのメンバー、モンティはアイスと接触があるらしいが、一番新しいメンバーであったレミーは同じ町に住みながら、そしてチームに所属しながらも、創始者DEF ICE とは顔を合せたことも無いという。アイスは当時踊りもしてないため、レミーが一緒に活動するというチャンスがなかったようだ。
DEF ICEとは、果たしてどういう人物なのだろうか?

そもそも俺がSpartanicのメンバーとなり、ツヨシや佐久間さんを誘ってわざわざスイスまで来ることになったのも考えてみれば全てICEがいたからである。ダンス活動をしていないとはいえ、チームの創始者ともなれば、当然挨拶の1つもすべきだと思っていたが、そのICEとの接触はこうして以外とあっさりと現実のものとなった。

Spartanic Rockers スイスメンバー 上左:ZED/上右:MONTY/左下:DEF ICE/右下:REMY

町の中心部から少し離れた川沿いに彼の家はあった。そこは少し広めのワンルームマンションといった感じの部屋で、中にはベッドと小さいソファーと、それからコンピューター、シンセサイザー等が所せましと置いてあった。始めて会うICEは、彼にとっては驚きの、俺達日本人メンバーを快く部屋に迎え入れてくれた。アイスは身長185cmはある長身の白人男性で、とてもブレイクをやるようなタイプには思えない、優しい感じの男だった。
ICEもまさか10年以上前に自分が作ったチームに日本人メンバーが加わり、わざわざスイスまで渡ってきてオリジナルメンバーと一緒に踊ることになるとは、夢にも思わなかったであろう。スイス&日本…自分で考えても確かに不思議な巡り合わせである。
ともかく彼はシンセサイザーとパソコンを駆使してSpartanicRockersのオリジナル曲を作ってくれた。曲の感じは少しテクノ調で、ちょっぴり切ない感じのするメロディーである。いかにもヨーロッパの人が作りそうな感じの曲であった。
途中ICEが「Spartanic」と言う声を曲に入れようと言い出して、マイクに向かって歌い出した。その声が予想に反して結構高い声だったので、ツヨシが「ずいぶん高い声なんですね」と佐久間さんに言うと、佐久間さんもこらえていたものを一気に吐き出すように笑い始めた。ツヨシもこれに合わせて爆笑。

Spartanicの創始者が自分たちのために一生懸命曲を作ってくれているにもかかわらず、その横で何も気にする事なく爆笑する失礼な人達(笑)。
その後スイスのメンバーから
「日本語でもスパルタニックって入れようぜ。Spartanicって日本語でなんて言うんだい?」
と無理な質問を浴びせられた。
スパルタは、スパルタで、日本語の言葉なんてない。ただこのチーム名は、戦士の国スパルタに由来する。・・・って事は戦士の集まりだから「戦闘軍団」かなとか言ってここでまた爆笑するツヨシと佐久間さん。
試しに曲に合わせて「戦闘軍団」と歌ってみては「だせぇー」とか言いながら爆笑し続けた不謹慎な2人であった。

こうして全く役に立たない日本人メンバーをよそに、ICEの苦心の作であるSpartanicのオリジナルミュージックが完成していった。
アイスは完成した楽曲をカセットテープに落としくれたので、我々5人は車の中で大音量で聞いてみた。(当時はCDに焼く機械はなかった)
出来たてホヤホヤの曲である!
日本人は使う事がないような種類の楽曲であり、ここでもヨーロッパと日本の感覚の違いを感じた。ちなみに、アーティスト肌のICEはその出来に満足できず、その後徹夜で曲をリメイクして翌朝届けてくれた。

こうしてSpartanicの創始者であるDEF ICE との初体面を果たし、曲を作ってもらった我々は、いよいよバトルイベントに向けてスイスと日本の合同練習に入っていく事となる。

End of The Spartanic Rockers Story Vol.012

To be continued


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初体験! ヨーロッパB-Boyシーン! Spartanic Rockers Story Vol.011

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日本とスイスのすれ違い・・・ Spartanic Rockers Story Vol.013