俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.055
1999年、韓国で初めて開催された国際的なダンスイベント、
“World Hip Hop Festival”
に招聘された我々Spartanic Rockers(スパルタニック・ロッカーズ)。
段取りの悪さは世界一?の無茶苦茶な大会ではあったが、
バトルに参加していたチームは素晴らしいクルーばかりだった!
*TOP の画像
USA Dream Team
上段:Flo Master、Wicket、オーガナイザーのSheldon
下段:Ken Swift、Crumbs、Zulu Gremlin
しかも初めて見るチームがいくつもあり、我々は驚きを隠せなかった。
特に印象に残っていのはアメリカの CIRCLE OF FIRE(サークル・オブ・ファイヤー)。
このチームは様々なスタイルの、個性の強さが物凄い際立っているダンサーの集合体である。後に何度も来日しその独自のスキルで多くのダンスファンを魅了する事になる。
一概に彼らのスタイルを表現することは難しいが、彼らの踊り方はHOUSE DANCE(ハウスダンス)や、カポエイラをB-Boyにミックスするという、今までのB-Boyの常識を完全にくつがえす新しいスタイルであった。このチームの起こした流れは後のB-Boy界に様々な影響を与え、1つのムーヴメントを作っていく事になる。
そしてカナダのBAG OF TRIX(バッグ・オブ・トリックス)。
彼らには、自分がSpartnic Rockers のメンバーになるキッカケとなった97年の渡米の時点で遭遇していたが、完全なるチームとしてそのパフォーマンスを生で見たのはこの時が初めてであった。
このチームも他にはない全くオリジナルなスタイルを展開するチームである。
今回話題にしているこの韓国の大会があった1999年には、Battle Of They Year そして UK B-Boy championships でも現場を共にすることになる、我々にとってはいわば戦友的なクルーである。
彼らの独特なフットワークのスタイルは、従来のB-Boyスタイルとは大分異なったオリジナリティが高いもので、以降多くのB-Boyに影響を与えている。
そしてアメリカからはオールスターともいえるチームも参加していた。
このチームは「USA Dream Team」 という名前でバトルに参戦!
メンツは正にドリームチーム。
B Boy 界のパイオニア、Rock Steady Crew よりKen Swift(ケン・スウィフト),西のシーンで活躍してきたZulu Gremlin(ズールグレムリン), 98年にUK B-Boy Championships の決勝で戦った、Style Elements(スタイル・エレメンツ)のCrumbs(クランブス),西の若手ではStyle Elements と人気を2分していたRENEGADES(レネゲイズ)の Wicket(ウィケット), そして、Kenの弟子でもあり、後にUSHERのダンサーや、映画「YOU GOT SERVED」などでも活躍するFlo Masterという素晴らしいメンツであった。
このような他参加チームの情報も一切ないままにこのイベントに参加した俺は内心結構驚いていた。(前述したが今回最大の驚きは既に到着直後に味わっていたが(笑):参照 SPARTANIC STORY VOL.54)
しかし、我々を更に驚かせるのは開催国、韓国チームであった。
韓国のB-BOY達のズバ抜けた実力は、今では世界的に常識であるが、ファーストコンタクトの我々はそんな事は全く知らなかった。
俺達は、この当時韓国のダンスシーンに対しての知識や情報があまりになさ過ぎた。
全く根拠は無かったが、ダンスシーンは日本の方が相当リードしていると勝手に思いこんでいた我々。
ストリートダンスの情報としては日本の方が先んじていたはずで、正直言って俺達は自分達の方がずっとレベルが上だとたかをくくっていたが、そんな過信はすぐにぶち壊された。
韓国代表として参加してきたのは、当時既にアイドルグループとして韓国ではデビューを果していたグループで、”PEOPLE CREW”(ピープルクルー)というチームであった。
B-Boyのアイドルグループとはこれまた大分変った感じがするが、ある意味先進的な取り組みだと言える。この当時としてはちょっと時代を先取りし過ぎた感は否めない。
ともかくこのPeople Crew のB-Boy 達のパワームーヴの実力の凄さは目を見張るものがあった。当時恐らく日本では実現していなかったエアートラックスの連発なども既に韓国のB-Boyは行っていたし、ヘッドスピンのクオリティーなども全員相当なレベルにあり、パワームーヴのテクニック的には既に日本のレベルを超えていたと言っていいと思われる。
現在の韓流アイドルやアーティストのアグレッシブな歌やダンスに対するトレーニングを見てもわかる通り、韓国の人達の取り組みは本当に真剣で日本人の想像を超えるものがある。
この時生まれて初めて遭遇した韓国のB-Boy達は、この後世界を席巻する「韓国B-Boy旋風」の一端を覗かせていた。
さて、フランスからは”French Connection(フレンチコネクション)”というチームが参加していた。このチームは、B-Boyとスタンディングスタイルのダンサーがミックスされていた。
チームのメンバーとして参加していたフランスを代表するLOCK DANCER のGemini(ジェミナイ)に当時の様子を聞いてみた。
「俺達はダンスショーケースのコンテストだと聞いて、この大会に参加しに来たんだ。韓国について最初のミィーティングでわたされたスケジュールに”バトル”という記述があり、それを見て俺達は笑ってたんだ。誰か別のチームのスケジュールを間違ってわたされたんじゃないかと思って・・・。ところが、自分達もバトルにでないといけないと知ってビックリ!!」
想像した通りではあるが、混乱していたのは俺達だけではなかったのである。
こんな大混乱の中、我々はいよいよイベント当日に突入していくのであった!!!
End of This Story
To Be Continued
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