初上陸の韓国は驚きの連続! Spartanic Rockers Story Vol.054

俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.054

実は、スイス、日本の合同合宿の直後に、我々はもう一つ大きなイベントが控えておりました。

それは“World Hip Hop Festival”とういう

韓国で開催される初の国際大会への参加

であった。我々のUK B-BOY CHAMPIONSHIPS や BATTLE OF THE YEAR での活躍を見たアメリカ人のオーガナイザーが出演のオファーをしてきたのである。

*TOPの画像
Spartanic韓国初上陸のメンバー
上段左から:TAKEO、REMY、ツヨシ、NAO
下段左から:シンさん、佐久間さん

この当時、まだネット上に情報がきちんと載るような時代ではなかったため、情報はオーガナイザーとのメールのやり取りのみで、きちんとした内容はこちらには伝わってこなかった。

そのためいったいどういう内容が展開されるのかはよく分かっておらず、とにかく、いくつかの国からチームが集まってバトルをする、韓国で初めて開催される世界大会であるという事だけが分かっていた。

しかしながら、我々は既に、植木豪とJOを欠き、新たに加えたTOMOはスケジュールが合わず、行くことができない状況であった。
俺と、ツヨシと佐久間さんの3人でバトルとショーもしなければならず、これはほぼ不可能な状態。そこで、スイスメンバーの日本合宿のスケジュールを韓国大会の直前にくっつけることにより、Remyが参加できる段取りをつけていた。Montyは残念ながら社会人のため、1週間休みを取るのが限界であった。

これでも4人。

大会側からは最低6人にして欲しいという連絡があったため、やむなくまた代役をお願いすることにした。
ということで今回は、ツヨシの後輩のNAO(ナオ)と、俺が昔一緒にやっていたダンス仲間で、1歳先輩の新家子(しんやこさん、通称シンさん)にお願いすることにした。

UK B-BOY と BOTYの練習をした直後から、今度はこの韓国イベントに向けての練習が開始された!!

しかも同じくショーには全く慣れていなNAOとシンさんを加えての練習はそこそこ大変だったように思う。

なんとかショーを作り上げ、我々はいざ初韓国に向かう事になる。

この当時韓国のダンスシーンの情報はゼロでありどういう状況か全く知識がない状態であった。

いろんな意味で、韓国に行って初めて知った驚きの事実も沢山あった。

まず現地に行って驚いた事といえば、大阪のHIP HOP DANCE のチームであるDEF(デフ)が来ていたことだ。
DEFとは、現在ではERECTRIC TROUBLE のメンバーであるDOMINIQUE(ドミニク)がリーダーを務め、現在、D’OAMのメンバーとして活動しているKATO、MOCCHIN、そしてもうダンスはやっていないらしいSAKITCH、の4人で構成されているチームだった。

このチームの踊りはかなり革新的で、当時の大阪では飛ぶ鳥を落とす勢い。
ダンス番組RAVE21やダンスディライトでも優勝を果たしていた若手実力派チームであった。

俺は時々大阪に行く機会等もありDEFのリーダードミニクの事は一応知ってはいたが、彼らがB-Boyのバトルの大会に呼ばれているのに内心ちょっと驚いていた。

最初に言っておきますが、この大会は驚くべき事ばかりが起こる凄いイベントでした。

いろんな意味で(笑)

まず段取りが笑ってしまうほど悪い。
我々はこの段取りの悪さに滞在期間中ずっと振り回され続け大分疲弊した状態になります。

しかし、俺にとっての一番の驚くべき事実は韓国到着後、空港からホテルへの移動中のバスの中ですぐに発覚します。

それは、バスの中で大会のあらましを確認する俺に、大会側のスタッフが説明した内容でした。

「日本チームは、SpartanicとDefが一緒にバトルに出て欲しい」という話をしてきたのです。

 

ほぼ初めましてに近い、しかもジャンルも異なるDEFのメンバーと一緒にバトルに出てくれって??
そんな事あり得ないでしょ!
そんなやり方はおかしいし、出来ない!
なんで日本チームだけB-BoyとHIPHOP連合で出ないといけないのか?
これはブレイクのバトルのイベントだろ??

そういう質問をすると、イベントスタッフからは
「韓国と日本だけは連合チームになっているんだ」という訳の分からない説明を受ける。

俺がスタッフに、ともかく急に今日会ってすぐにバトルに一緒に出るなんて無理だという話をしていると(多分結構怒って言っていたと思われます。)その様子を見ていたドミニクが「自分達はバトルに出なくても大丈夫です」と言ってきた。

これは恐らく怒って抗議している俺をみて、いたたまれなくなったからだと思われます。

DEFも、俺たちSpartanicも、バトルだけではなく、ダンスショーケースもやる予定だったので、DEFはバトルに出なくても、全くやる事が無くなってしまうわけではない。

しかし、俺が怒っていたのはこの非常識な段取りと、バトルがやりにくくなるという事に対してであって、別にDEFが嫌いとか、一緒に出たくないとかそういう理由ではなかった。
そして俺が怒って抗議しているのを聞いて、辞退しますと言って来た彼らの気持ちを考えると、申訳ない気持ちにもなり、結果、メンバーにも事態を説明して、一緒に出る事にしのだ。

さぁここから突貫工事でバトルの準備をはじめる俺たち。

Spartanic Rockers だけでみても、助っ人で来てもらっているシンさんとNAOがいるという状態に加えて、一度も一緒に踊ったことがない、しかもジャンル違いのDEFと合同で一体どんなことが出来るのか・・・

即席で合同チームを作ることになったスパルタニックとDEF

少ない時間で我々はバトル用の簡単なルーティーンや段取りを練習することとなる。
そんなバッタバッタの状態に拍車を書けるのが、イベントの最高の段取りの悪さであった。

 

さて、この時我々のケアをしてくれていたのは、日本に留学経験があるという韓国人大学生のキム君(男性)でした。このキム君、留学時代に習得してきた日本語が結構あいまい。
面白言葉を連発します。
「はーい、皆さん、ここに座ってろ」とかいきなり命令されて爆笑!!
このキム君もイベント制作スタッフではなく、ボランティアで我々のケアをする役割だったので、イベント主催者に言われたままに我々に伝言する役割です。
ということでキム君も我々と一緒に、イベント主催者に振り回されまくることとなります。

例えば、会場となるスタジアムに連れていかれたと思うと、そこでずっと待たされる。
そうかと思うと急いできてくれと会場に呼ばれ、思いっきりせかされて移動すると、またそこでずっと待たされるとか、そういう無駄な時間の連続。

一番ひどかったのは、リハーサルの為に来た会場から、やっぱり一回ホテルに帰りますと言われホテルに帰ったときでした。
ホテルに戻り、3時間後ぐらいにもう一回会場に行きますと言われた俺達。
旅疲れ、待たされ疲れの我々は部屋に戻って、さぁじゃ軽く昼寝でもするか、と思った刹那ドアにノックの音!!
「何だ」と思って出ると、「やっぱり会場にもどるのですぐに出てください」という無茶苦茶な対応。
ホテルの滞在時間は5分程度(笑)

仕方なくまたバスに乗って会場に戻ると、今度はまだ時間があるからバスの中で待たされ続け、昼食もバスの中でお弁当を食べて待つ事に・・・

この無駄な、行ったり来たりの繰り返しにはかなりかなりイラつく我々。

ようやくショーケースのステージリハーサル時間がくると、彼らはリハを1,2分で済ませろと言ってくる。
前述したように、Spartanicのショーに初めて参加する代役メンバー2人に、LOCK DANCE などのショーケース初体験のRemyを含むチームではリハーサルは必須!
ここだけは「リハーサルなしでは踊れない!!!」と強く主張して、無理やりリハーサルを行う我々。

しかし韓国のステージングは我々の予想に反しド派手!

ビカビカの照明に、ダンス中にはステージに設定された複数の装置からCO2が噴出!!
ゼンソク持ちのREMY からはCO2はやめて欲しいと言われた俺が、ステージからそのことを舞台スタッフに伝える。
「分かったと」返答した直後に再び「ドバー」と大量にCO2噴出(笑)

もう無茶苦茶です(笑)

そんな無茶苦茶な大会ではありましたが、バトルに参加していたチームはいずれも素晴らしいクルーばかり。しかも俺もはじめてみるチームがいくつもあり、彼らの新しいスタイルには驚きを隠せなかった。

果たして、この助っ人2人を含むSPARTANICとDEFの即席チームでバトルに勝利する事は出来るのか・・・・・

End of This Story
To Be Continued


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再来日!Remy&Monty Spartanic Rockers Story Vol.053

Spartanic Rockers Story 一つ後のぺージ

韓国B-Boy達の驚くべき実力! Spartanic Rockers Story Vol.055