日本人メンバー 4番目の男 Spartanic Rockers Story Vol.018

俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.018

日本人メンバー 4番目の男

スパルタニックロッカーズを代表してBattle Of The Year(以下BOTY)のスイス予選に参加してくれたレミーとモンティ。予選敗退の結果により、我々日本人メンバーもBOTYへの参加の道は閉ざされてしまった。

BOTYスイス予選終了後、しばらくするとまた新たな、そして「まさか」のニュースがレミーを通してもたらされた。

「タケオ、トーマスが、日本人だけだったらドイツのBOTY FINAL に出てもいいって言ってるよ!」

当時の日本では予選はおろか、BOTYの存在すらほとんど知られていなかった。現在アドヒップ主催で行われているBOTY日本予選は、決勝に参加した俺がイベントの重要性を知り、日本での予選を実現させるためにトーマスにマシーン原田さんを紹介したことから始まる。
予選が無かった当時の日本からの参加なら、招待チームとして扱ってくれるという事だったのだ。

さぁ事態はまた急展開を迎えた。
この事態にどう対処するか???
世界から強豪が参加するあの舞台に、日本人3人で挑戦するのは正に自殺行為。最初から勝利を捨てているようなもんだ。
俺は前述した通り、この大会での優勝を真剣に考えていたので、この事態について真剣に検討した結果、ツヨシと佐久間さんに以下の様に相談をもちかけた。
「誰か、こいつと一緒にやりたい! っていう奴がいたら、候補を一人づつ挙げて欲しい」と2人に話したのだ。
俺はと言えば、すでにやりたい2人(ツヨシと佐久間さん)は自分が誘って一緒にやってしまっているから、他にどうしても一緒にやりたいという人間が思い当たらなかったのだ。

ツヨシは俺の予想通りの男を推薦してきた。

JO=城山直樹

ツヨシとJOはよきパートナーとして、そしてよきライバルとして、お互いに切磋琢磨して上達してきたB-Boy仲間である。仲間というかコンビであった。
当時すでにこの2人は全国的に有名であり、あらゆるバトルに積極的に参加し、自分達の独特なB-Boyスタイルと、パワームーヴを武器に多くのバトルに勝利していた。
ツヨシは最初俺からSpartanicの話が来た時、正直な話、JOを出し抜くチャンスだと思ったらしい。それだけ2人は仲間でもあったが、一番のライバルであった。ツヨシにはJOには負けたくない、JOはツヨシには負けたくないと思っていたのだ。
しかし、ここにきて更にB-Boyを増やすとなれば、もうツヨシにはJO以外は考えられなかった。

やはりこの2人は最高のコンビでもあったのだ。

実はJOはツヨシより一つ年上であった。
とんでもない理由で学校を退学になり、もう一度別の高校に入りなおしたいわゆる「ダブり」であった。だからツヨシより年齢は一つ上だが、同じ学年として高校に通っていた。
さて、そのとんでもない退学の理由とは、ノリで学校の3階から校庭に飛び降りたというクレイジーな話だ。
JO はこうやって常にノリでとんでもないことをしでかす男だった。
ある時は当時のチーム、フリーズのメンバーと行った六本木のクラブでチーマー(不良グループ)をぶん殴り、その仲間たちに追いかけられて渋谷まで走って逃げた事もあったらしい。
ある時はツヨシに突然キスをしてきて、ツヨシが驚いて怒ると、
『はっはっは驚かしてやろうと思って 笑 』
と、マジギレするツヨシを見て爆笑するという事もあったらしい。
ツヨシは、「たったそれだけでそんな気持ち悪い事するか?」とJOのとっぴよしもない行動に当惑した。

普通考えないし、考えたとしてもやらない事をやる男。
それがJO であった。

JOと当時の仲間たち。センター左、緑のT-SHIRTSがJO。

JOはもともとダンスをやっておらず、ツヨシの方がダンスを先に始めていたらしい。ツヨシが学校の友達と廊下で練習しているとよく前を通りかかって
『オレダンスやろうかなと思ってんだよね』などと言ってきた。
ツヨシは3階から飛び降りるような危ない奴とかかわりになりたくないから、
『やめた方がいいすよ、あんまり面白くないよ』と返答していたらしい(自分はやっているのに、これは無理がある返答 笑)
JOの方が先輩だから、仲間に入れてくれと言えない期間がしばらく続いたが、徐々に練習に参加して来るようになった。その後、他の仲間と合流してFREEZE(フリーズ)として活動を始めることになる。

Freeze時代のJO 左上,ツヨシが右上

前述したが、俺もだいぶ前からツヨシと一緒にいたJOとは会っていたし、練習も何度もした事があった。とある人からの要請で、一緒にショーに出た事もあった。
ひたすらお調子者で、とても明るく、でも周りの人には優しい、そんな性格のJOであった。彼はその性格から、あんまり人がやらないよなとっぴよしもないムーヴをいくつも生み出し当時から周りでは評判であった。
ツヨシの一番のライバルであり仲間、そして俺も前からよく知っていたJOであるから、彼のチームへの参加は喜ばしい事だった。
ただ、奴のあまりの自由さ加減はちょっと心配ではあったが(笑)

ともかくこうして、ある意味俺の予想通り、スパルタニックロッカーズ日本人メンバー4番目の男としてJOの参加が決定した!

End of The Spartanic Rockers Story Vol.018

To be continued


Spartanic Rockers Story 最初のページ

はじまり Spartanic Rockers Story Vol.001

Spartanic Rockers Story 一つ前のぺージ

2人だけの挑戦!! Spartanic Rockers Story Vol.017

Spartanic Rockers Story 一つ後のぺージ

日本人メンバー 5番目の男 Spartanic Rockers Story Vol.019