2018年 全日本高等学校チームダンス選手権大会 Part.4

2018年9月16日
北九州メディアドームにて、
高校生のダンス部ナンバーワンを決定するコンテスト
「全日本高等学校チームダンス選手権大会」
の決勝大会が開催されました。

ジャッジさせていただいたこの大会について所感ブログPart4です。

前回は音楽とのシンクロ性について書かせていただきました。

今回は「ジャンルらしさ」について書きたいと思います。
「ジャンルらしさ」の重要性もまた深い内容なので、別途まとめていきますが、今回も気になったので簡単にこちらで意見を述べておきます。

ジャンルらしさとういのは簡単に言うとそのジャンルの特性であり、優位性の事です。

ラーメンに例えてみます。
ラーメンにはいろんなジャンルがあります。
例えば、
こってりした豚骨ラーメン
さっぱりした塩ラーメン
辛い担々麺
・・・などです。
「こってりしている」事はラーメン共通の要素ではないし、
「さっぱりしている」事も「辛い」事も同じく全てのラーメンに当てはまる事ではありません。
ですが、「豚骨ラーメン」は「こってりしている」から美味しいのではないでしょうか。
担々麺は辛さが無いと担々麺ではありません。
担々麺を食べる人は、この「辛さ」を求めて担々麺を選ぶのだと思います。
担々麺は辛いからこそおいしいのであって、辛くない担々麺は担々麺としての美味しさを失ってしまいます。
ジャンルというのはそういうものです。
それぞれにある「特徴」を煮詰めて行きついた結果が、「そのダンスの優位性」となるわけです。
逆に言うと、「あっさりした豚骨ラーメン」とか、「辛くない担々麺」とかは、本来あるべき特性を失ってしまっているので、そのジャンルらしさ=優位性も失ってしまうのだと思われます。

では、どのジャンルにも当てはまらない全く新しいダンスは生まれないのか?
それは、そんな事はないと思います。
高校生にそれが出来ないと決めつけるのも間違っていると思います。
ですが、それはかなりレベルの高い別の話で、自分が見た限りにおいては、今回の大会でそういうグループは見受けられませんでした。
基本どのチームもベースとなるダンスジャンルがあっての作品だと思います。

であるならば、ジャンル自体の優位性を際立たせないと、ダンス自体が優位になる事はないと思います。

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ダンスジャンルにつての考察 Vol.1

例えば今回出場していたヒップホップのグループの多くは90年代からの流れを継承するステップダンスを踊っていましたが、ほとんどのチームはこの時代のヒップホップダンス独特な「重さ」が感じられませんでした。
恐らく多くのチームが重心を下に集めるのではなく、「お腹」に集めているのではないかと思あれます。これだと見た目は「ダウン」に見えても足の裏に集まるような「重さ」を表現することはできません。
なので、どこかフワフワとしたようなダンスになってしまいます。このようにダンスの最大の特徴であり優位性と考えられる要素が欠けてしまうとそのジャンルのダンスの良さは半減してしまいます。

ロックダンスを踊るときにストップがほとんどないグループもありました。
LOCK、POINT、STOP & GO など、ストップする動きが非常に多いこのダンスは、ストップから弛緩していくように流れていく動きに他のジャンルにない特異性があり、すなわちこれが優位性だと考えます。
ストップするという事は、音の流れ(時間の流れ)を敢えて一時的に止めるという事です。なのでこの踊り方はそこに強いインパクトがあり、カッコよさがあります。
ストップしていたら次の動きに間に合わないと思う方もいるかもしれません。
いえ、間に合わないからこそいいのです。
間に合わないから、次の動きが早くなって、楽曲に追いついていきます。追いついたらまた一定のスピードにもどり、そしてまたストップします。要するに一つの動き(ステップ)の中に早いところと遅いところができて、それが緩急になり、更に音楽とのシンクロ性も作り出していくのです。

ちなみに、我々が使っているビートのある音楽は全てこのような流れがあります。
1カウントの中に強いところと弱いところがあるのです。これがいわゆるグルーヴと呼ばれる部分だと思います。

またまた長くなってしまいますので、続きはPart.5 にて!


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