ヒップホップダンスを定義してみる Vol.2

Hip Hop ってどんなダンス?
ヒップホップダンスを定義してみる Vol.2


ヒップホップダンスは、独特な「ヒップホップダンスらしさ」を持っている。この「らしさ」はかなり抽象的なものなので、文章化するのが困難である。
我々は時々「らしさ」について、B-BOY FLAVOR(フレイヴァー)とかHIP HOP FLAVOR とかそういう風に表現する事がある。FLAVORとは、日本語にすると、「風味」の事であるが、「におい」と言ってもいいかもしれない。これは冒頭に書いた「雰囲気」と同じ事である。ヒップホップダンスのフレイヴァーは複数の要素が絡み合って出てくるものではあるが、その最大の要素は、

「音の取り方」、「リズムの取り方」であると考える。

それはこのダンスカルチャーがある程度定着して以降、変わらぬ真理として存在すると思う。しかるに、その真理を中心に、ベースに置きながら開発された様々な踊り方は、HIP-HOPであるし、この真理を無視していれば、同じ動きをしていてもヒップホップダンスとは言えないと思う。
簡単に言うと、

ランニングマンというステップをやればHIP-HOPなのではない。
そこにHIP-HOPのフレイヴァー(リズムの取り方)があって初めてHIP-HOPのダンスとなる。

エアロビクスやバレエをやっている人がランニングマンをやっても、ヒップホップをやっている人と大分感じが違う。その一番の理由はリズムの取り方であると考える。
自分はこの特有なリズムの取り方がヒップホップダンスの中で一番強いアイデンティティであると考えている。
ところが、現代の日本の状況を見ていると、非常に多くの人がこの事を理解しないでやっている。残念ながらこのリズムの取り方は、一般的な日本人は生活の中で身に着けられない。そのため一部の恵まれた人を除いては後天的なトレーニングで身に着ける必要があるのだ。

本当に理解しなければいけないのは、
カウントにあっているのと、音楽にあっているのは全く違うという事である。

まずは音楽の在り方を理解する事から始め、それに体をどのように動かし、合わせていくかが分からない限り、どれだけステップや動きの練習をしてもヒップホップダンスにはならないのである。真理を理解しないで「動き」の部分だけを追っていると表面的な踊りになるし、いつまでたっても踊りの質は変わらないのである。

「では、その独特なリズムの取り方とはどういうとり方なのですか?」
という質問が聞こえてくる。
これは、残念ながら文章だけで説明するのは大変難しい。レッスンやワークショップ等で、音楽を聞きながら、実際に体を動かしながらやらないと説明しきれないと思う。機会がある方は是非レッスンやワークショップでお話ししましょう。また、なかなか機会が巡ってこない方の為に、いつかこのリズムに関しても文章化することにチャレンジしてみたいと思います。


■ヒップホップダンスの定義その2
ヒップホップダンスとは、このダンス特有なリズムの取り方で踊るダンスの事である。


話を最初に戻すが、ヒップホップダンスは、様々なダンスの要素を取り入れて、吸収し、現在のダンスになっている。このダンスにかかわる人達は常に新しい表現方法を模索しており、その意味では確かに「自由なダンス」である。
ヒップホップはそのカルチャーも音楽もダンスも、バトルでしのぎ合うという風土のもとに立脚している。相手を倒すために新しい要素を自由に取り入れて進化して行くことはこのカルチャーの中ではもともと宿命なのである。大切なことは様々な新しい試みは常にヒップホップダンスの独特なリズムの上に成り立っているという事である。

「HIP-HOPとは自由だ」と発言する人の多くは、この「リズム=真理」を理解しないで言っている事が多い。真理がなければただの「自由なダンス」であり、もはやHIP-HOPでもなければなんのカテゴリーにも属さない自分なりの自由なダンスになってしまう。


■ヒップホップダンスの定義その3
ヒップホップダンスとは、新しい要素を取り入れて進化していく自由なダンスである


最後にこのトピックスを総括し、ヒップホップダンスを定義してみる。

ヒップホップダンスとは
独特なリズムの取り方をしながら
ヒップホップミュージックに合わせて踊る
新しい要素を取り入れて進化していく自由なダンスである。


ヒップホップダンスを定義してみる Vol.2
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