先日ダンスワングランプリというダンス番組がテレビ朝日系で放送されました。
さまざまなジャンルのトップダンサーが集まってダンスパフォーマンスを行い、その中で、ナンバーワンを決定するとう番組です。
集まったのは
ブレイクダンス:九州男児新鮮組
ヒップホップ:BixBite
ロック&ポップ:Loners
クランプ:Twiggz Fam
ジャッズダンス:Fabulous Sisters
タップダンス:激団HIGUCHI
という6組
いずれも各ジャンルを代表するダンスグループばかり。
実際に番組を見た、ダンスをやっていない人からは、こんな意見が聞かれました。
「あんなにジャンルの違うものに優劣をつけていいの?」
「どのダンスの素晴らしいから、どっちがいいとかないんじゃない?」
はい、そう言ってしまえばその通りです。
例え言うならば、中華料理と、イタリア料理と、日本料理と、フランス料理と・・・・様々な料理を食べて、どれが一番おいしかったが決めるという事と同じことをやっているのです。
ただ我々のダンス界では一般的に行われていることで、特別なことではないんです。
今回特別だった事といえば、各ジャンルの参加チームがいずれも素晴らしかったので、優劣をつけるのが本当に困難であったという事かもしれません。
「めっちゃおいしいフランス料理」と、「そこまで美味しくない日本料理」だったら、「フランス料理の勝ち」と容易に判断する事が出来ると思います。しかし、どれも極上だった場合は判断が非常に難しくなります。
今回は正にそのケースに値します。
しかしながら、その中でも敢えて一番を決めなければいけない。
これが番組の趣旨です。
審査員として番組に参加させていただきましたが、自分にとっても採点はかなり難しい作業でした。審査員によっては自分と意見が違うケースもままありましたが、それはある意味正常な状態であると思う。
そして、そういうバラバラな意見の審査員をまとめても優勝出来るチームは正にジャンルを超えて優勝に値するグループと言えると思います。
以下勝敗に関係なく各チームに対する個人的な感想を簡単に。
- ブレイクダンス:九州男児新鮮組
文句なく凄いスキルと正確なルーティーンの連続。
短い時間にぐっと凝縮した組技にアクロバットにパワームーヴ。
いつもながらの素晴らしい安定感のダンスでした。
一分半という短い時間だと、ちょっとお腹一杯になりそうな内容でした。やっぱり九州男児新鮮組は、チームルーティーンと個人技のどちらも両立している希少価値のあるチームだと思います。
- クランプ:Twiggz Fam
俺のストレートな感想は、「魂の踊り!」
内から放たれる激しいエナジーは、見るものを圧倒する力がありました。それだけパワーにあふれたパフォーマンスでした。
自分個人的には、組技や帽子のトリックよりも、シンプルにもう少しクランプならではの踊りの部分が見たかったという気持ちがあります。
多分彼らなりに悩んだ結果の作品だったと思います。
ジャンルに対する愛情は一番感じられたチームでした。
- ヒップホップ:BixBite
本当にナチュラルに踊るなぁ~っていうのが正直な感想です。
ヒップホップが日常生活っていう感じが伝わって来る、とてもいい踊りでした。
衣装も含め、エンターテインメントよりも、ヒップホップを表現しようという気持ちが先に出ていたチームと言えます。
彼らは多分、緊張もしていないと思う。
ある意味、踊りというのは本来こういうものです。
終わった後に、一番もっと見たいという気持ちにさせたチームでした。
- ロック&ポップ:Loners
若手ながら素晴らしいテクニック。
身体能力の高さ、音に対するアプローチの素晴らしさをとても感じました。
楽曲がとても細かい音の集まりなので、見せどころが逆に難しいところがあるかなと思いました。
結構激しいアクロバティックなムーヴをサラッとやっているけど、今回はテレビなので、特にもうちょっとフィーチャーした見せ方をすればよかったかなという感じもしました。
- ジャッズダンス:Fabulous Sisters
ある意味エナジーは参加チームの中で一番あったかもしれません。
激しい動きの中に、緩急があるといのは、トレーニングをしている人しか出来ないことです。
よく、「動きが揃っている」とか、「揃っていない」とか、そういう話はわかりやすいので話題になりますが、ダンスとして考えるとそれより大切な事が沢山あります。
ちゃんとした体の使い方、体幹、柔軟、ダンスとしてのトレーニングを積んでいる彼女たちがやっているからこの踊りは素晴らしいのであって、表面だけ真似しても全くできるものではありません。余談ですが、審査員の浩子ちゃんが言っていた黒のパンツの事は実は自分も最初に思いました。衣装は一番大事なものではないけど、やっぱり大事な要素ですね。
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- タップダンス:激団HIGUCHI
足で音を鳴らせるというのは他のジャンルにない凄いアドバンテージではあるが、逆に、必ずそれをやらないといけないという事だと、縛りにもなってしまう。そういう意味では、不利になる事もあるわけです。この表裏一体の狭間で、他ジャンルとやり合うというのはなかなか難しいものがあったかと思います。
そんな彼女達のパフォーマンスは、予選よりも決勝の方がいろんな意味で良かったと思います。気合、音の使い方、曲の構成の仕方など、素晴らしい作品でした。
最後にMCの渡辺直美さんが、世界からダンサーが来るような番組が出来たらいいと発言されました。
これは正にその通り!
そんな番組ができたら最高です!!
皆さんからの熱い応援がきっとそういう番組を生み出すのだと思います。
ダンスの応援をよろしくお願いします!
◆MC(オーガナイザー)
渡辺直美◆サポートMC(進行)
宇賀なつみ◆審査員
振付稼業 air:man
FISHBOY
HIDEBOH
石川浩子
宮田健男◆出場ダンスグループ
九州男児新鮮組(ブレイキング)
Twiggz Fam(クランプ)
FabulousSisters(JAZZ)
Loners(ロック&POP)
Bixbite(HIPHOP)
激団HIGUCHI(TAP)◆結果
*予選通過
九州男児新鮮組(ブレイキング)
FabulousSisters(JAZZ)
激団HIGUCHI(TAP)*優勝
九州男児新鮮組(ブレイキング)◆公式サイト
https://www.tv-asahi.co.jp/dance-1/#/-