大事件   Spartanic Rockers Story Vol.046

俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.046

信じられない事が・・・

次の大きな大会に向けて、我々の日常は続く。

スパルタニックロッカーズは様々なダンスイベントでショーをしながら、スタジオや体育館に集まっては個人練習をこなす日々が続いていた。

そんな忙しくも充実した日々を過ごしていた俺たちの元に、ある時とんでもない事件が起きる。

夜中まで練習していることが多かった俺は、その瞬間もベットの中にいた。

まだ寝ている最中、机の上に置いてあった携帯電話が鳴った。

 

その日はとてもいい天気で、朝日がまぶしかった。

 

ブラインドの隙間から朝日が部屋に降り注いでいたことをよく覚えている。

 

俺は眠い目をこすりながらベッドから起き上がると、机の上の携帯電話をとった。

それは、通常かかってくることがない、メンバーの家族からの電話であった。

「いったいなんだろう」と思いつつ電話に出る俺

「今、警察から電話があって、JOが亡くなったとか言ってるんだけど・・・。」

 

俺は一瞬耳を疑ったが、すぐにヒドイいたずら電話だなと思った。

 

JOが亡くなったって?

 

そんなことあるわけないじゃん。

 

「なんで警察から電話があったんですか?」

「なんかJOの所持品のノートに、うちの電話番号が書いてあったみたいでそれで電話してきたみたいなの。」

 

俺はこの話を聞いてもまだ誰かのひどいいたずらだと思った。

 

「分かりました、じゃ俺から電話してみるので、連絡先教えてもらえますか?」

 

そうして聞き出した電話番号をメモして、電話を切る。

俺は早速104に電話して、今聞いた電話番号が偽物だという事を証明しようと思った。

 

104で調べてもらった番号は、俺の予想に反して、本当に警察の番号であった。

 

ここから俺の気持ちは一気に嫌な胸騒ぎで一杯になる。

 

いったいどうなってるんだ????

電話番号が本当に警察署の番号だと知った俺はすぐに警察署に電話。

担当者と話をする。

担当者の方は、JOががどうもビルから飛び降りて亡くなったらしいと言っていた。

全くもって信じられない事実。

 

仮に100人中99人がビルから落ちて亡くなったとしても、最後までへらへらと生きている奴、JOとはそんな男だ。

しかし警察が嘘をつくはずもない。

電話を切った後、少しの間呆然とした俺はとりあえず他のメンバーに電話をし始めた。

当然最初に連絡を取るべきは、相方として一番密に活動を共にして来たたツヨシであった。

 

ツヨシとの会話は今でもよく覚えている。

俺の話を聞いたツヨシは

「何言ってるんですか。何言ってるんですか。」

・・・と同じ言葉をひたすら何度も何度も繰り返した。

 

俺は返す言葉もなく、ツヨシが繰り返す言葉を聞いていた。

 

その後の嵐のような顛末は、正直言ってはっきりは覚えていない。
ともかくメンバー全員に連絡を取って、当然ご家族にも連絡を取って、しかるべき対応をしたのだと思う。

 

次に残る鮮明な記憶は、JOの家にメンバー皆で訪ねた事である。

家にあげていただくと、部屋の中に置いてある棺桶の中にJOが横たわっていた。

お母さんとの挨拶もそこそこに、JOの顔を拝む俺達。

 

そこにはまるで眠っているようにきれいな顔をしたJOが横たわっていた。

あまりの実感のなさに、事態を受け入れられない俺であった。

いや、メンバーも皆信じられな過ぎて、現実を受け入れられなかったに違いない。

 

しかしそこには確かに息をしていないJOが横たわっていた。

 

JOの顔を見ると、涙が一気に溢れ出してきた。

 

悲しみという感情は多分なかったと思う。
あまりに突然の出来事過ぎて悲しい気持ちなんて湧いてこなかったんだと思う。何より「信じられない」という気持ちしかなかった。

俺は、あまりの実感のなさに不思議な感覚にとらわれていた。

 

JOが死んだなんて全く信じられない。
だから、本人の顔を見ないと、その信じられない気持ちが勝ってしまう。
だが、実際にJOの顔見ると、涙が一気に溢れてくる。

この繰り返しであった。

 

皆で代わる代わるJOの顔を拝んでいたが、他のメンバーがJOと対面している間、その短い瞬間ですら、まるでそんな事が無かったような気持ちにとらわれてしまう。

 

しかし再びJOの顔見ると、やはりまた、涙が溢れてくるのである。

 

それだけ俺にとっては信じられない、全く現実感のない出来事であった。

 

その後の事も正直に言ってあまり覚えていない。
とにかく、俺達を含め、JOをとりまくいろいろな人達は嵐のような時間を過ごしたことは間違いない。

 

そんな中でも俺が一番心配だったのはツヨシの事であった。

ずっと長い時間を、ライバルとして、相方として過ごしてきた2人である。
いきなり相方を失ったツヨシの精神が壊れないかどうか俺は本当に心配であった。
それからしばらくの間は、できる限りツヨシと同じ時間を過ごすように心がけていたのを覚えている。

 

また、俺達以上にご家族の方の思いは計り知れない。
人の親になってみて良くわかる事だが、親より早く亡くなるほどやるせない事は無い。
親はそれだけ子供を愛(いつく)しんで育てているものである。

 

結局、JOが亡くなった本当の理由は分からずじまいだ。

俺達なりにいろんな憶測はあるが、それはあくまで憶測だから、

敢えてここに書くことはしない。

 

原因の如何にかかわらず、チームにとって、本当に大切なメンバーを永遠に失ってしまったという、動かしがたい現実がそこにあるだけだった。

 

JOは亡くなる直前にツヨシに電話して、
たまたま電話に出れなかったツヨシに留守電を残していた。

JOの最後のメッセージは、
ビュービューという強い風の音とともに入っていた。

End of The Spartanic Rockers Story Vol.046

To be continued


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