2019年7月
LAで行われているWorld Of Dance(WOD)の レポートのパート2です。
この決勝大会には世界各国から様々なダンススタイルのチームが参加しています。
例年ながらではあるが、参加チームの中で、大がかりなセットを用いたパフォーマンスもいくつか見受けられた。
昔、ダンスディライトに道具を持ち込んだチームがいた時、先輩が主催の原田さんに
「道具なんて持ち込んでいいの?」 と質問していた。
確か、タップダンスのチームがタップボードを舞台に設置したのではないかと記憶している。
原田さんが、「まぁ、いいんじゃない」と答えたところ、
「じゃ、盆踊りのチームがヤグラを入れたいって言ったら入れるの?」とか極端なことを言っていた。
その時は笑い話と思って聞いていたが、今回は現実にそれに近い状態だと思わせるようなチームまでありました。
アメリカのチーム”ELEVATED”は、いわゆるお立ち台的なセットを舞台に搬入して、その上で踊るという演出をしていた。
台の大きさは、横は5~6m、奥行きは2mぐらいはありそうな大きなものである。
組み立て式で作ってはいたようだが、まさかこんな巨大なセットをコンテストで利用する人がいるとは自分にとっては驚きであった。
しかし、このチームは、台は大きくはあったが、作りはシンプルであった。
一方、大きさはそうでもなくても、非常に多くのパーツを用いるセットを使っているチームも複数あった。
彼らが会場入りする時に遭遇したが、自分はその物量に驚いた。
過去日本チームも、大きな箱とか、ツイタテとか、そういう結構かさばる小道具(というかもう大道具の域でしょうか?)を使用していたケースはあるが、これも前回自分がブログに書いた衣装早替えと同じく、とてもリスキーであるなと思う。
タイトな時間と空間の中、道具がきちんと準備できない可能性はもちろんの事、輸送時の紛失や誤配送などの可能性も否定できない。
特に会場の舞台袖が狭いとスタンバイできないような大きなセットは非常にリスキーだ。
上記のアメリカのチームは舞台の外、屋外で台を組み立てて、直前に袖から数人がかりで搬入していた。
舞台袖に収まるサイズではなかったし、仮に収まっても、それを入れてしまうと、ダンサーが袖にスタンバイできない。
今回は晴れていたからよかったが、もし雨が降っていたら、
それも大雨が降っていたらどうだろうか?
外で組み立ても出来ないし、出来たとしてもビショビショになってしまう。
そのビショビショの台を舞台に入れたら、台の上で滑って転んでしまう可能性もあるし、その濡れた台のせいで、その後のパフォーマンスに影響する可能性も十分考えられる。
ダンスの効果を増す演出の為に、様々な趣向を凝らすのは演出、振付家の気持ちはよくわかるが、決まった時間内にパフォーマンスをするべき「コンテスト」においては非常にリスキーでとてもお勧めできない。
もっと言えば、
自分の見解では、WORLD OF DANCE はダンスコンテストである。
ダンスコンテストであるのであれば、大きいセットや道具は使わずに、出来るだけダンスで勝負していただきたいものである。
これがパフォーマンスコンテストであるならば話は少し違ってくるかもしれないが・・・・
ちなみにツイタテを使う演出は近年よく見かけますが、自分はSpartanic Rockers で2007年にこのアイデアを導入してロンドンでショーを行っています。
その意味では、先駆者(?)かもしれない
これはコンテストではなく、しっかり準備ができるショーケースです。
ツイタテをつかっているからの笑えるハプニングもありましたが、それについてはまた追って、Spartanic Story でご紹介したいと思います。
さて、衣装やセットの事ばかり書いていてるので、
本編のダンスについて少し自分の意見を書いておきます。
まず、日本チームに限らず、全チームこのコンテストに臨む姿勢、熱量は凄いです。
それは舞台裏、屋外での様子などを見ていればよくわかります。
皆、炎天下にも関わらず、出番直前まで練習を繰り返し、意識を集中して本番に臨んでおりました。
賞の受賞等に関わらず自分が注目したチームをいくつかご紹介しておきます。
- N’Ism
見事総合優勝を果たした日本チーム。
作品は意外にアクロバット的な要素も多分に含まれ、ダンサー達の身体能力の高さがうかがえる。
体の使い方や、それに至る身体のトレーニング、基礎の積み上げがないと出来ない内容だ。
作品の作りはオリジナリティがあり、静と動の流れが見事。
音楽とのシンクロ性も高い
- TDC
バブリーダンスで話題をさらい、今やその動向が常に注目を集める、何かと話題の「登美丘高校ダンス部」。
50人という大人数でのパフォーマンスで、準優勝を獲得!
全体が見事にオーガナイズされた構成や振付と、ウィットに富んだ作品の面白さが光る。
80年代を彷彿とさせる楽曲と衣装、そして髪型までこだわった演出。
観客を笑わせたり、引き込む作品性があった。
- ASIAN WAACKING SENSATION
一言で言うと見事なパフォーマンス。
様々に転換していく衣装や楽曲と、それにマッチした踊りが観客を魅了し、クラウドフェイバリット賞(最も観客に支持された作品)を受賞。
激しくもスピーディーな踊りの展開と最初から最後までこだわった演出が見事。随所にちりばめられている技術力の高さも素晴らしい。
もっとも舞台映えする作品であったと思う。
受賞には至っていないが、とても音楽性の高い作品として自分の中ではかなり評価の高いチーム。
音の細かいところ、ビート部分とメロディ部分の両方をうまく捉えて表現している。
感情面も表現できていると思うし、1人を主役に立てた演出も上手くマッチしている。
- HOMELAND OKINAWA
絶妙なユズル氏の振付。
敢えて、メローな楽曲でアニメーションの技術を利用して踊りを展開していく。
体の操作や、音のとり方など、いわゆる現代のR&Bのダンスに非常に通じるところがあり、R&Bで踊るダンサー達にもとても参考になる内容だと思う。
ちなみに、ジャッジをしていた人気振付師のTimtimはこの作品を大絶賛。自分から出演していた子供たちに「素晴らしい」と話しかけに来たほどであった。
- C-Fam
パッションが凄いチーム。
これはヒップホップとか、ストリートダンスとかとはちょっと違うかもしれないが、ものすごいパッション!!
暑苦しい(笑)程の、濃いーーーーー感情表現。
ダンスは感情表現をするアートであるが、その意味では段トツの仕上がりであった。
特に最初にソロを踊る(0’40付近)男性の熱量は半端ないです!
その他、他にも素晴らしいチームがありましたが、きりが無いので今回はこの辺にさせていただきます。
END OF THIS STORY
TO BE CONTINUED
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