昨日は赤坂のスタジオフェイスで自分のブレイクのワークショップを行いました。
5歳の男の子、6歩のフットワークを教えるのに一苦労。
やっぱり子供と大人はだいぶ様子が違う。
自分もレッスンをするようになって20年以上。
沢山の子供たちを教えてきた経験から、子供がだいたい同じような傾向がある事が分かります。
よくあるのは、右と左を逆にしてしまうという事。
これはダンスに限りませんが、小さい子には多い特徴です。
よく靴を左右逆に履いてしまうというケースがあるかと思います。
子供によっては常に逆に履いている子もいますよね(笑)
文字を左右反転させて書いてしまう子供も結構いると思います。
一説には左脳が発達していないので右脳での判断のみで逆になるとか言われておりますが、自分にはその説明の意味がよく分からない。
右脳の判断が強いからと言って左右逆になることはあるのだろうか??
教えていて気付く事としては、前と後ろも結構分からない事が多いように感じます。
ちょっと専門的な話になりますが、左軸でブレイクの6歩のフットワークをする時、足を開いた状態からスタートすると
1.左足を斜め前に出す
2.右足を左のヒザの後ろに持ってくる
という順番で行っていくのですが、
この2の「左ヒザの後ろに右足を持ってくる」という所で、足を後ろではなく前に持ってきてしまうケースが多いです。
前に持ってくるよりも、後ろに持ってくる方が動作としては簡単なので、動作が簡単な方に流れてしまっているという事ではないと思います。
自分の印象では
「強いイメージが優先してしまう」という事なのではないかと思います。
「見た感じ」と「実際やっている事」が違う事はよくある事で、大人でも間違えて理解してしまう事は多々あると思います。
例えば「ヘッドスピン」を例にとると、
ヘッドスピンは基本「手や上半身の動き」で回っているのですが、
見た感じは「足で回っている」ように見えると思います。
自分もこの「見た感じ」に惑わされて、ヘッドスピンをマスターするまでに4年ぐらいの歳月を費やしてしまいました。
さっきのフットワークに関して言えば、「足がからまった」ような通常にない状態のイメージだけが優先して、
足が前にある方がより複雑な、
からまったようなイメージに近いからそうしてしまうのではないかと想像します。
ブレイクをやったことない人にインディアンステップ(立って踊るスタイル)をやってもらうと、
体を大幅に斜めに傾けてステップするケースが多いですが、
実際はそんな風には踊っていません。
これもそういう「イメージ」が先行してしまうからでしょう。
モノマネタレントさんのモノマネが、
一定の癖をかなり大袈裟にやっているのと同じような感じだと思います。
そういうイメージ先行はあると思うのだが、だからと言って左右が反転する事象は説明しきれない。
子供は「自分から対象物を見る」という感覚ではなく、「対象物と一体化する」ような感覚があるため、「対象物から自分を見る」ような視点になって左右が反転するという説があるようです。
この説だと左右が反転するという理屈は説明できる。
しかし、結局学説的には子供が右と左を何故逆に認識するのかはハッキリわかっていないようだ。
それはさておきながら、こういうイメージ先行の理解が多いという体験から、自分がダンスレッスンをする時は、子供達にろいろと質問して答えさせるようにしています。
「なんとなく、ふわふわと出来たような感じ」ではなく
説明のつく事実として自分の中に定着させるための作業です。
説明をさせると、理解していない人は「ちんぷんかんぷんな事」を言ってきます。
逆に、説明はできなくても、理解している子も自分には分かります。
それはそれで大丈夫です。
理由がわからなくても上手く出来る人はその作業に対して才能のある人です。
そういう人に「詳細に説明させる」という事はプレイヤーとしては「必要ない」事だと思います。
MRジャイアンツ、長嶋さんは天才なので、なんで自分が野球を上手く出来るのかは多分説明できないのだと思います。
でも、たいていの人は「天才」ではありません。
だから、他人に説明させることによって、動作やステップやリズムのあるべき姿を理解して、定着させることに大変役立ちます。
このコンセプトに従がって、スタジオフェイスで開発したヒップホップのダンスプログラム「G.S.R」では3回先生から教わって2回は逆に教えるという手順を踏みます。
幼稚園の子供にも、社会人の大人にもちゃんと説明してもらいます。
説明しなければいけない状況で、自分の状態にちゃんと向き合って、
分からない曖昧なところがクリアになるのです。
当然上達もなんとなくレッスンを受けている状態よりはるかに速いと思います。
そうは言っても、
小さい子供たちはそんな自分の意図に反してなかなかきちんと説明しません。何回も説明した事に対しても、適当な思い付きで答える子も沢山います。
前に読んだ本で、「人間は7回言わないと分からない」という説がありました。
これを読んで自分は、子供たちが分かるまで「7回まで」は怒らないで繰り返し説明できるようになりました
この年になってちょっぴり成長(笑)
教える方も常に学びです!!
ダンスのよりよい教え方はもちろんですが、
即席な成果よりも
より人間的にも成長できる、
自分で考えて行動できる、
そんな人になってもらえるように気を配ってレッスンをしております。
これからも生徒たちから学びながら、
よりよいレッスンを目指していきたいと思います。
END OF THIS STORY