2019年 全日本高等学校チームダンス選手権大会 Vol.2

高校ダンス部の日本一決定戦

全日本高等学校チームダンス選手権大会が、
2019年9月15日に福岡県北九州市の北九州メディアドームにて開催された。

今回はこのコンテストにおける所感VOL.2と
小編成部門の各校へのコメントを掲載いたします。

高校生のダンス部のコンテストで一番感じるのは、皆さんの純粋で熱い思いです。
この大会に向けて多くの時間と気持ちを使ってきたのだという事がよく分かります。
それは自然と見ている人の気持ちを動かします。
ジャッジも同じ人間なので、やはり皆さんの熱い気持ちには心が動かされます。
ダンスの技術とか、振付とか、そういったものを超えて、人の心を動かす「力」があるダンスは、入賞のいかんにかかわらず皆素晴らしく、それだけで価値があるものです。

この機会に向かって自分たちがどれだけ努力してきたかは自分たちが一番よく分かっていると思います。
ダンスだけでなく、気持ち面も含めて、大会に臨む中で成長できた自分がいるのであれば、それは認めて褒めていきましょう。
コンテストは皆さんのダンスライフの中の一つのイベントであり、全てではありません。
そして、ダンスはコンテストに勝つために踊っているわけではないからです。

さて、配布済みのジャッジシートを見ていただければ分かると思いますが、ジャッジの結果は人によって大分異なります。
なんでこんなに違うのかと思う方もいるかと思いますが、ダンスはスポーツではなくアートなので、ある意味それが正常なのかもしれないです。
ゴッホとピカソはどっちがいいか、バッハとシューベルトはどっちがいいか??
基本はそういう判断の出来ない比較であるいう前提をご理解いただければと思います。
(この件に関してはまた別途、別頁で記述していきたいと思います。)

自分は、これまで培ってきたダンスに対する知識や、考え方により、自分の判断に対して自信をもって行っております。
それは他のジャッジの方も同じだと思います。
ただ経験や知識によって見えるポイントはかなり異なってくると思います。
その意味では、ダンス未経験者や経験値が低い人達も含めて、誰もがジャッジができるのかと言うと、そうではないのだと考えます。

今回の自分のジャッジは、自分なりに細かくポイントを分けて判断をする方法をとってみました。
例えば音楽とのシンクロ性というポイントに関しては

①リズムをとっている場所
②ビートの余韻をとっているか
③メロディーも含めて全体としての音楽とあっているか

の3つについて確認しながら見ておりました。

この細かいポイントの積み上げと、全体としてフカンで見る方法とどちらがいいのかというのは議論が分かれるところだと思います。
「全体の印象」でジャッジすると言うのはちょっと乱暴な表現かもしれないけれど、ダンスがアートという事を考えると、そういう考え方、やり方も決して間違いではないと思うのです。

これは自分もどちらがいいのかは分からないところもありますが、これだけダンスコンテストが広がりを見せ、高校生だけでなく多くの子供たちも参加するようになった昨今、細かい分析や理由付けも必要なのかという想定の下に行っております。

以下に小編成部門の各校に対するジャッジコメントを載せておきます。
皆さんのご参考になれば幸いです。

最後にこのコンテストはダンス部顧問の先生方によって運営されているという唯一無二の大会です。
「ダンス」に向かう皆さんの真摯な思いが高校の先生たちの努力によって実現されております。
緒方先生をはじめ、多くの先生たちの努力とご尽力に心から尊敬の気持ちをお送りいたします。


小編成部門
優 勝 桜丘高等学校(愛知県)
準優勝 鎮西高等学校(熊本県)
第3位 仙台城南高等学校(宮城県)
優秀賞 大阪府立渋谷高等学校(大阪府)
優秀賞 日本体育大学桜華高等学校(東京都)
優秀賞 北九州市立高等学校(福岡県)


最優秀テクニック賞  小編成 目黒日本大学高等学校(東京都)
最優秀コレオグラフ賞 大編成 愛知県立昭和高等学校(愛知県)
最優秀コスチューム賞 大編成 武南高等学校(埼玉県)
最優秀チームワーク賞 大編成 大阪府立金岡高等学校(大阪府)


TEAM1ソロバトル
優勝 小野 海洋さん-仙台城南高校
第9回全日本高等学校チームダンス選手権大会 東北予選結果


文部科学大臣賞(総合優勝)桜丘高等学校(愛知県)


01:柳川高等学校
ドラムを使った演出が印象的な作品。パワーもあり、音楽性もよかったです。振付はもっと詰められた方がいいのかなと思ったのと、テクニック面にはまだまだ課題があると感じました。

02:神奈川県立大和南高等学校
体のシルエットが良く、ダンス自体のパワーはありましたが、チーム感はもっと出せるのではと感じました。
構成は面白かったのですが、振付やオリジナリティはまだ向上の余地があると感じました。

03:高稜高等学校
チームの雰囲気はばっちりすぎるほどいいです。リズムの流れ(余韻)部分はよいのですが、音をとる場所はジャンル的にももう少し後ろでもいいのかなと感じました。2人で出るという勇気ある挑戦には文句なしに拍手です。

04:専修大学附属高等学校
踊りのパワーがあり、リズムの余韻部分も気持ちのいいダンスでした。振付や構成部分はまだまだ工夫ができるかなと思ったのと、テクニック面も伸びしろがあると感じました。

05:大阪府教育センター附属高等学校
作品全体での音楽性が高く、リズムのフローもよかったと思います。構成は若干修正すると見え方がかなりかわってくるのかなと思いました。チームの雰囲気も良かったです。

06:鹿児島城西高等学校
振付にオリジナリティが感じられ、LOCKとHOUSEのMIXした感じもかっこよかったです。リズムをとる場所はいいと思いますが、余韻の部分が少ないので、もうちょっと流れを感じて踊るといいと思います。

07:堺リベラル高等学校
普段のしっかりした練習が感じられるダンスで、基礎、テクニックも評価できると思いました。全体の流れは美しかったですが、振付はもう少し凝ってもいいのかなと感じました。

08:目黒日本大学高等学校
高いテクニックと基礎力、身体能力も感じられる作品でした。布を使った演出なども素晴らしかったです。
アクロバットが凄い男子に目が偏る感じが若干あったかなと思いますが、全体の踊りもよかったです。

09:大阪学園大阪高等学校
リズム感、余韻、音楽性も平均して高く、安定した作品でした。振付や構成もよかったです。体の線やテクニック面はまだまだ向上できると感じました。後半になるにつれて良さが上がっていく感じを受けました。

10:鎮西高等学校
衣装や楽曲も含め素敵な演出での作品でした。リズムや音楽性も高かったと思います。構成もよかったのですが、テクニック面を含め振付部分はまだ向上の余地があると感じました。



11:初芝立命館高等学校
印象的なポーズを使い、一貫した流れを作品全体から感じられました。いい意味で少しアホっぽい踊り方、演出も好印象でした。構成部分はとてもよかったと思います。テクニック面はまだまだ向上できると感じました。

12:大阪府立柴島高等学校
リズム感や音楽性、ジャンルならではの音の取り方が良かったです。構成や振付面はわりとオーソドックスだと思うので、どこか特徴やオリジナリティが出せれば更によかったと思います。テクニックもまだ向上できると感じました。

13:埼玉県立杉戸高等学校
パワー、チームの雰囲気もよく、オリジナリティも感じられる作品でした。リズム感もなかなか良かったと思います。踊りの姿勢(シルエット)やテクニック面は研究の余地があると思いました。

14:大阪府立河南高等学校
構成力があり、音楽性、音とのシンクロ性もよかったと思います。作品全体としてはオリジナリティをもう少し出していくと、更に高い評価が得られるのかなと思いました。テクニック面もまだ向上できると思います。

15:豊田大谷高等学校
印象的な始まり方が、作品の印象としては効果的。構成が面白く、パワーも感じられました。リズムの取り方や音楽とのシンクロ面が向上するととても良くなると思います。チームの一体感ももう少し上げられると思いました。

16:精華女子高等学校
体の線(踊りの姿勢)やステップの感じがとても良かったです。デニムの衣装もとてもかっこよかった。振付そのものやそのオリジナリティなどはもっと出していけるのかなと思いました。リズムを感じる場所ももう少し後ろだと更にいいと思います。

17:宮城県古川工業高等学校
チームのパワーを感じられるダンスでした。リズムが切れてしまいがちなので、ビートの後の余韻部分を大事に踊るといいと思います。全体的に基礎を大事に練習してみていただけたらと思います。

18:奈良市立一条高等学校
リズムをとる場所がHIPHOP的に絶妙でとてもよかったと思います。ショーの頭から結構好印象でした。
全体的なバランスはすごく良いと思いますが、テクニックはまだ上げられるかなと感じました。

19:日本体育大学桜華高等学校
リズム感、音楽性、構成、振付など、全般的にレベルが高く、高得点でした。凝った構成、見せ方の上手さが感じられる作品でした。テクニック面はまだ上げられると思います。

20:大阪府立渋谷高等学校
このチームは集団で合わせるというよりも個々がダンスと向き合っている感が感じられる、高校ダンス部では割と珍しいチームだと思います。リズムや余韻の取り方もHIPHOPの良さが活きているいいダンスでした。構成やオリジナリティの面はまだ向上の余地があると感じました。



21:福岡工業大学附属城東高等学校
構成が面白く、チームのパワーが感じられるダンスでした。リズムをとる場所、特に余韻の部分が切れてしまっているので、音の流れを意識して踊ると見え方が変わると思います。姿勢(シルエット)も研究の余地があると思いました。

22:東海学園高等学校
音楽(メロディー)へのアプローチが良く、踊りのシルエットやチームのパワーもよかったです。金のジャケットは良く見えるケースもあるが、照明の反射で踊りが見にくいケースもあり、なかなか難しいなと思いました。リズムへの意識はもっと高めてもいいのかなと感じました。

23:広島修道大学ひろしま協創高等学校
リズムの余韻、ミュージカリティは高評価でした。楽曲に入り込んだパフォーマンスもよかったです。シルエットやテクニック等、基礎部分はまだ強化できると感じました。

24:沖縄県立北中城高等学校
リズム、余韻、メロディー部分に対しても高いシンクロ性が感じられるいいパフォーマンスでした。構成や振付もよかったです。踊りのシルエットやテクニック面がもう少し向上すると文句なしに優勝できるレベルだと感じました。

25:桜丘高等学校
チームの雰囲気、まとまりがあり、パワー感も出せていました。リズムをとるビート音部分を、一定のリズムとしてではなく、振りとして追っているという事が見えてしまい、ストリートダンス的には高い評価は出せませんでした。

26 仙台城南高等学校
研究された体の線(シルエット)が活かされた現代的なダンススタイルで、チームの一体感もありました。
リズム部分は余韻が切れてしまっていているので動作のフローをしっかり作れると、格段に良くなると思います。

27:大阪府立山本高等学校
リズムの流れ、音楽とのシンクロもあり、振付もかっこよかったです。チームの雰囲気もとてもよかった。ステップ時の体のシルエットとリズムをとる場所を研究してみてください。構成ももう少し凝ってもいいのかなと思いました。

28:北九州市立高等学校
一定レベル以上のパワームーヴのテクニックをもち、ジャンルらしさもあるダンスでした。作品中に様々に展開されるアクロバットやパワームーヴ、フリーズなどが見えにくい場所で展開されるケースが多々あり、目が散ってもったいないなと思いました。

29:二松學舍大学附属高等学校
チームのパワーレベルは他行に比べても一段上な印象を受けました。構成も良かったです。
リズムをとる場所が若干早く、余韻ももう少し取れると感じました。それも含め、テクニック面はまだ課題ありと思います。

30:大阪府立箕面高等学校
パワーやチームの一体感があり、構成も面白い作品でした。体の線(シルエット)や、音どりを含めたテクニック面はもっと深められると思います。そうすると音楽との親和性が急激に増すと思いました。


End Of This Story
To Be Continued

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