BOTY1999 決勝バトル! Spartanic Rockers Story Vol.062

俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.062

ブレイクバトルに勝つ明白な理由

ドイツで行われている国際的なB-Boyイベント、Battle Of The Year(BOTY)。

この大会に出場した我々は、バトルへの通過の夢は果たせず、決勝のバトルを観客としてみる事となる。
ここで俺達は、驚きのムーヴの数々を見せられることとなる。

決勝バトルのカードは、

前年度優勝、アメリカの ROCK FORCE CREW

ハンガリーのSUICIDAL LIFE STYLE であった。

会場にいた多くの人達が、ROCK FORCE CREW の優勝を予想していたのではないかと思う。
何もかもが新しく、時代にのっているROCK FORCE CREW に、更に新メンバーとして強力な2人、IRON MONKEY と Reveal まで加わった状態で、優勝は必至と思われた。

結果を先に言ってしまうと、このバトル、勝ったのは、スーイサイダル ライフ スタイル の方であった。
では、何故既知の、皆が知っているムーヴが基本のSUICIDAL LIFE STYLE が勝つことができたのか。
その理由は明白であった。

彼らは、既に存在する全てのムーヴを、
尋常ではない、
ありえないクオリティで行ったからである。

ロックフォースがパワームーヴを行うと、それを従来からのスタイルで返すスーイサイダルのメンバー達。

そのクレイジーな技の深さをかいつまんで紹介しよう。
例えばあるメンバーによるエアータートルとトーマスフレアのつなぎ。
これもまったく目新しいことはないが、クオリティの高さが半端ではない。
(動画7分40秒あたりを参照)

別のメンバーのつなぎは、トーマス→ウインドミル→ヘイロー→トーマス→スワイプス→ジャックハンマー→トーマス→ウインドミル→ヘッドスピン のコンビネーション!
エンドレスにそしてハイクオリティ!
(動画9分あたりを参照)

 

このメンバーが動画17分あたりで行うトーマスフレアのムーヴには更に度肝を抜かれる。
彼はニットキャップを持って登場するとそれをトーマスフレアをやりながら空中に投げ上げ、キャッチしてはまた投げという行為を始めるのである。
この動作は、トーマスフレアをやった事がある人なら分かると思うが、物凄いレベルの高いスキルである。

トーマスフレアをしながら片手で投げたキャプが下に落ちる前にもう一方の手でキャッチしてその後技につなげていくなんてあり得ないスキル。

しかも途中仲間にキャップを投げ渡し、更に投げ戻してもらったキャップを空中でキャッチしている!!!

凄い!!

そして極めつけは、頭の上で人を回転させる組み技(動画18分ごろを参照)

これもアメリカのBBOY、ダイナミックロッカーズなどが昔からやっているスタイルではあるが、やはりそのスピードとクオリティの高さが尋常ではなかった。

そしてこのチームのエース、GONBIのパワームーブスキル。
ウインドミル、ヘイロー(A-TRACKS)の流れは驚異的である。
正直に言うが、現場で生で見ていた俺はあまりのスピードにその詳細を理解することが出来ず、後でビデオで見て確認することになる。
彼はウインドミルからヘイローのつなぎを、ヒジやダブルなどを織り交ぜて行っていた。
更にそこからヘッドスピンへのつなぎも完全にシームレス。

多くのB-BOYが横から上にあがる時に一瞬「間」が出来てしまうものであるが、GONBIは完全にシームレスでトップスピードのままヘッドスピンにつないでいく驚きのスキルである。(動画23分ごろを参照)

繰り返しになるが、SUICIDAL LIFE STYLE がやっている事は
下手をすると、古いとか、ダサいとか、そう評価されてしまいそうな既存のスタイルばかりである。
しかし、いずれの技も、我々の常識をはるかに超えた深度、深さで行ってくるのである。

「新しい事」にこだわって踊っているROCK FORCE CREW と まったく正反対に
「古いものをひたすら深める」というSUICIDAL LIFE STYLE の踊りの数々

このバトルは単にこの年に残った2チームのバトルという事ではなく、

日ごろの生活を含めたカルチャー(文化)の戦いであると、本当に気づくのはそれから数年後の事であった。

この、俺にとってはとても重大な気づきについては後日別途書きたいと思う。

ともかくこうして99年のBOTY決勝バトルは終了する。

BOTYでは、バトルの他に最高のショーを行ったチームに贈られるベストショーアワードがある。
発表の時、コールされた名前は “Spartanic Rockers” !!!!

やった!

バトルでも優勝したかったが、それでも、このベストショーは本当に嬉しかった。
正直ショーケースには絶大な自信があった。
だが、やはり受賞は嬉しいものである!!!

これで我々はこの当時では前人未到の、2年連続のベストショー受賞を果たすこととなった。

めでたい!
嬉しい!!!

もちろんバトルにも残りたかったし、バトルでも優勝したかった。
だが、チーム一丸となって得る事が出来たBest Show Award は俺達にとっては本当に価値があるものであった!

こうして、ヨーロッパツアー最初の目的であったBOTY99を終えて、我々はまたスイスはベルンの地に帰るのでる。

ここから1週間後にはイギリス、ロンドンで行われるUK B-BOY CHAMPIONSHIPS が開催される。

日常生活から隔離されている我々日本人メンバーと違って、日常生活があるスイスのメンバーは、仕事や学校などの日常生活もあるため、この後の1週間はその前の1週間よりややスローダウンした練習を行う事となる。

俺は若干観光的な事も行い、町や近隣の湖を訪ねたりもしつつ、練習も行って1週間を過ごした。

そしていよいよヨーロッパツアー2つめの大きな目的である
UK B-BOY CHAMPIONSHIPS が行われるLONDONへ向かう事となる!

End of This Story
To Be Continued


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