俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.040
イベントの約束をブッチしたオーガナイザーとの交渉の行方は??
ドイツの大会BOTY98の参加の後に、フランス、パリで行われるイベントに参加してほしいとの要請を受け、
航空券を
行きは東京→フランクフルト
帰りをパリ→東京
で手配し来た俺達Spartanic Rockersの5人組。
ドイツ、オッフェンバッハからフランス、パリへの移動と、パリでの宿泊はフランスのイベントオーガナイザーがみる約束だった。
ところが、ドイツからの移動当日に、
「パリでのイベントは無くなったから、来なくても大丈夫」と、驚きの言葉を言い放ったイベントオーガナイザー。
航空券の変更が不可能な状態と知った俺は、とにもかくにも仲間を連れてパリへ電車移動するが・・・・
トップの画像
上段左から:JO,MONTY,GO,REMY
下段左から:TAKEO,ZED,SAKUMA,TSUYOSHI,
これが98年BOTY当時に活動していたSpartanic Rockers のフルメンバーである
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パリ到着後、駅前のファストフード店にオーガナイザーを呼び出し、交渉を始める俺。
既に我々は自費でドイツからフランスへの切符を買っている。
彼らはその費用を負担する素振りも見せないどころか、宿泊の手配や費用負担も我々でするようにと言ってきたのだ。
どだい、この状態では移動の費用までは出なさそうだ。
俺の目標は最低限、パリに滞在中の宿泊費を負担してもらう事であった。
長い事交渉を続けている俺のもとに、別のテーブルで俺の交渉の様子を見ていた佐久間さんが業を煮やして登場した。
この、佐久間さんの登場で事態は一変する!
佐久間さんは、全く俺の要求を聞こうとしないオーガナイザーとその仲間に対し、ブチ切れながら乱入(笑)
「ふざけるな!!!俺達は自費でパリまで来てるんだぞ!!
日本にいたら仕事もして、お金も稼げるのに日本の仕事も休んでパリまで来てるんだ。宿は当然お前たちが負担して用意しろ!!!」
佐久間さんは英語なのに、まるでべらんめぇ調!!
この時初めて知ったが、英語でも怒ると巻き舌になるんだなぁ感心した(笑)
そのあまりの剣幕に驚いたオーガナイザーは、渋々ながらホテルの手配と費用負担を承諾した。
ただしビデオの撮影についてはやって欲しいとのリクエストを出してきた。
ビデオ販売後の利益は必ず後で日本に送るからと言うことで、我々も彼らの提案を承諾する事にした。
どうせ、パリに来たのは踊るためだ!!
(ちなみに、この後ビデオや、その販売利益が送られてくる事は無かったが・・・)
こうして佐久間さんの「激怒りの巻き舌パワー」で何とか宿泊先を確保した我々は、週末までの数日間パリで過ごすことになる。
翌日からビデオ撮影が始まった。
我々はパリの様々な場所に行ってパフォーマンスをする事になる。
そのうちの1つは、パリのB-Boy達が普段から練習をしている場所であった。
そこが何と言う場所だかまでは覚えていないが、ショッピングモールの合間にあるような屋内のスペースであったと記憶している。
日本でも駅や大きなビルの前などで、ストリートダンサーが練習しているシーンは時々見かけるが、それと同じような感じである。
すでに練習をしていたフランスのストリートダンサーにまじり我々もソロで踊りを披露することとなる。
そこでの思い出の一コマは豪がその後俺に話してくれた
(ストーリー30参照)
その他いくつかの場所でパフォーマンスを行ったが、俺が最も印象に残っているのはエッフェル塔をすぐそばに臨む高台でのパフォーマンスであった。
撮影班のリクエストに応え、そこでゲリラ的にパフォーマンスを始めた我々。
5人でのショーを行うとともに、ソロダンスなども行った。
我々のダンスにギャラリーが自然と集まってくる。
そこで突如佐久間さんが観客にチップを求めて歩き始める!
佐久間さんはニューヨークにダンス修行に行っている間、公園でパフォーマンスをして投げ銭をもらって生活費に当てていたと言う。
海外では時々見かけるこの光景。
原宿の歩行者天国で踊っていた俺ではあったが、歩行者天国では基本的に投げ銭をもらうような行為はした事が無かった。
自分のダンス人生にとって初体験の投げ銭集め。
(・・・そしてこれは今のところ、最後の経験でもある。)
今回も打ち合わせは何もなし。
ダンスが終わった瞬間に佐久間さんは自分の帽子を脱いで観客を回り、投げ銭を求め始めた。
佐久間さんの行動に一瞬びっくりした我々であったが、同じく佐久間さんの真似をしてチップを求めて廻った。
そして、帽子の中に予想よりも多くの小銭が集まった!!
その日の夜は5人でレストランに行った。
庶民的なレストランではあったが、この日のディナーの代金は全てこの観客からのチップでまかなう事ができたのをよく覚えている。
こういう行動は経験が無い人間にはなかなか出来ない事だ。
佐久間さんのニューヨークでの実体験が活きた瞬間であった。
今回のように、うちのチームのメンバーは、打ち合わせ無しに突然いろいろな行動を起こす事がある。そして、内心驚きながら行動を合わせていく他のメンバー達(笑)
瞬時に合わせるのは、時には難しいことがあるが、それも同じチームのチームメイトならではの阿吽の呼吸で何とか乗り切るわけである。
(ちなみに乗り切れない大失敗も多々ある(笑))
こうしてひどいオーガナイザーからの予想外の待遇を受けながらも、我々は自分達なりにフランス、パリでの滞在を楽しみながら過ごした。
そして俺は、先日のバトルオブザイヤーのジェラルドから受けた衝撃をもとに、会社を辞める強い決心を胸に帰国の途につくことになったのである。
End of The Spartanic Rockers Story Vol.040
To be continued
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