出会い Spartanic Rockers Story Vol.003

出会い

俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.3


俺にとってこの時が、何度目の訪問だっただろう?

とにかくN.Y.はわりと慣れていたので 難なく友人の家に辿り着くと、そこで1週間近く居候させてもらうことになる。
ちなみに 彼は某テレビ局に勤務しての海外赴任だっただけに、かなりゴージャスな一人住まいをしていた。一階ロビーにはホテルのようにポーターやドアマンがおり、最上階はフィットネ スジムになっているという豪華さ!
高層マンションから見渡すマンハッタンの景色は格別のものであった。

そんな事はさておいて、着いた日から早速行動が開始された。

俺達がN.Y.に着いた日は ちょうど、クイックステップというB-Boyがリーダーを務める「フルサークル」という地元のブレイクダンスチームの練習日にあたっていた。
別の友人からの情報によれば、何でもこの練習会はオープンで、チーム以外の人達でも気軽に参加できるという。今日あたりは、アニバーサリーに遊びに来た他のB-BOY達も来ていることだろう。
という事で、さっそくそこに顔を出すことにした。

 

だがその前に、やっておかねばならないことがあった。

 

今回の旅の最大の目的、それはス パルタニックロッカーズの面々と会うという事だ。
レミーはスパルタニックの古くからのメンバーであるモンティや、多くのヨーロッパのB-BOY達と一緒に俺達が到着した同じ日にYMCAホテルにチェックインするという。
(これも余談ではあるがこのホテルは俺が始めて渡米した時にお世話になったホテルだ。)
俺とレミーはホテルで落ち合う事をあらかじめ約束していたので、まずは彼らのいるホテルに向かうことにした。

 

ケイ君を伴い、ホテルにおもむくと、ホテルの狭いロビーはB-Boyだらけだった。95年にここN.Y.で会い顔見知りとなったクレイジーフォースクルー(スイス)のクレイジーもいたので、彼と話をしていると、次から次へとヨーロッパ各国のB-Boy達がロビーに降りてきた。
クレイジーの紹介で一人一人握手を交わしていくと、中でもひときわ巨漢のB-Boyが俺の前に姿を表した。

Hi!俺はモンティ。スパルタニック・ロッカーズだ。
それからこいつがレミー

とかたわらの椅子に座っていた、やっぱり大きな男を指差した。
これがスパルタニックロッカーズオリジナルメンバーとの最初の出会いである。

Monty(上), Remy(左) & Takeo(右) in N.Y.

俺の印象だと、平均的にヨーロッパのB-Boyの方がアメリカのB-Boyより大きい奴らが多い。
それにしてもスパルタニックのスイスメンバーは何故かみな巨漢ぞろいだ。
後から知ったことだがレミーは身長185cm、モンティにいたっては身長195cmの体重 約100kgという巨体だ。
この体で様々なスピンコンビネーションを難なく、それも 相当のスピードでこなすから驚きである。
この時N.Y.に来ていなかった他のメンバー、ゼッドやジェームス、創始者のデフ・アイスも何故か皆185cm級の巨体である。

それにしても面白かったのはこの時のケイ君である。

俺とケイが並んで立っているとロビーに表れた沢山のB-Boy達は列を作って、俺→ケイの順に握手を交わし、挨拶していく。
皆「俺はどこどこ出身で、名前はなになにだ。ヨロシクな!」という感じで自己紹介をしながら列が進んでいくのだ。
その状態は、ちょうど結婚披露宴のあとに、新郎新婦が列席者を送る時と同じような感じだ。
ケイは初めての海外で、到着するやいなや、見た目もガラの悪い沢山のB-Boy達に囲まれ、英語でまくしたてられて一言も返すこともできずただドギマギするだけであった。
あるB-Boyはケイも英語が話せると勘違いし、しきりにいろいろと話しかけていて、その時の挙動不審なケイ君の姿は俺的にはかなり面白かった。
初海外でこのDOPEなシチュエーションは、外から見ていると笑えるが、ケイ君は相当食らったに違いない(笑)

 

ともかく、
こうして俺達は初めて顔を合わせた。

俺の住む日本でも、彼らの住むスイスでもなく、遠くN.Y.の地で・・・。
End of The Spartanic Rockers Story Vol.3

To be continued

はじまり Spartanic Rockers Story Vol.001

突然のニューヨーク! Spartanic Rockers Story Vol.002

ブロンクスは危険な香り・・・ Spartanic Rockers Story Vol.004