Hip Hop って本当に自由なダンスなの?
ダンスジャンルにつての考察 Vol.2
ダンスジャンルの定義とは何か?
それは、各ジャンルのダンスが持っている、「他にはない特徴」の事である。「特徴」とは言い方を代えると「優位性」とも言える。
それは「動き」であったり、「ステップ」であったり、「リズムの取り方」であったりする。
この「他にはない特徴」はそのジャンルの「アイデンティティ」となる。
逆に言うと、そのジャンルが持っているアイデンティティを無くしたダンスは、「別のジャンル」、もしくは「フリースタイル」であると考える。
例えば、
ポップのさまざまな動きを踏襲していながらも、一度もヒットを打たないのであれば、それはポップではないと思う。
ロックダンスを進化させたと言って、一度もロックやポイントで止まらないなら、これはやはりロックダンスではないと自分は考える。それは、ロックダンスをベースにしたフリースタイルダンスであり、「進化」というよりも「分化」ではないだろうか?
(分化と進化については別項で記述します)
1つのダンスジャンルがそのダンスと呼ばれる所以(ゆえん)を無視してしまっては、当然そのジャンルは成立しない。ダンスからジャンルを外せば、全てが「自由なダンス」になってしまう。
「自由なダンス」をする事自体は意味のある事であるが、自分はその前に各ダンスジャンルを真摯に学ぶ事を推奨する。
人間のカルチャーとは、何もないところから全く新しいものを生み出すという事はほぼ不可能だ。最新の科学技術も、音楽も絵画も、そしてダンスも、過去の歴史の中で先人が積み上げてきた成果の上に成り立っている。
多くの事は既に先人によって作られ、試され、実践され、その結果洗練されて現在に引き継がれている。だから、それを学ぶことで、ダンスの深さ素晴らしさを実感できるし、自分一人ではとても考えることができない多くの事を学ぶ事ができる。
話をまとめると、
「ダンス」は自由であるが、「ジャンル」は自由ではない。
という事だ。
ヒップホップダンスはあくまで「一定の範囲で自由」なのである。
ただ、この「一定の範囲」とういものは非常に曖昧である。それは、ヒップホップという音楽と、ポップスやロックとの境界線が曖昧なのと同じである。
「文化」では「ここまでが一定の範囲である」という明確な定義は難しい。
ではそんな曖昧な「一定の範囲」を理解するにはどうすればいいのか?
それにはその文化を良く知る事、要するに「ジャンルを深める事」しかない。
「ヒップホップダンスは自由なダンスなのではないですか?」と言う人は、ヒップホップダンスとういダンスジャンルを深めていないから、自由の意味と範囲が分かっていないのだ。
既存のジャンルを深め、学ぶ事で、始めて「自由にしていい範疇」が理解できるのである。
——–
ダンスジャンルにつての考察 Vol.2
End of this agenda
http://s-faith.com/miyatatakeo/dance-theory/dance-genre/genre-v1/