いいダンスレッスンとは Vol.3

ダンスには基礎が大事という話はよく耳にします。

「基礎」「基礎」とよく言うが、

教える側も
教わる側も
何が基礎か分からずにやっているケースがあります

ダンスの指導にはなんの免許もないために、
残念ながら、驚くようなひどい指導をしている指導者が沢山いるのです

基礎をまったくやらない先生もいれば

基礎をやっている風で、実は身のない動作だけをしているケースもたくさんあります。

アップとかダウンとか、アイソレーションとかをしていれば基礎をやっている事になるわけではありません。

ちゃんとした方法でやっていないと意味がないのです。

もしその手法が間違っていた場合は、繰り返しやる事でむしろ間違った方法が体に染みついてしまい、逆に「害」になります。

例えば、同じ素振りでも、
剣道の素振りと野球の素振りは全く異なります。
剣道の素振りを何万回やっても野球には活きてこないでしょう。

 

ダンスの場合は、やっている事が全く違っても、専門家でないと違いが分からないケースも多いため、こういうお門違いの練習をしているケースを多々見受けます。


「ダンスの基礎を教える」とはどういうことか
それは、「将来的にどのようにもなれる状態」を伝えるという事です。

 

ここで問われているのは教える側の知識と経験です。

 

音の長さをどう感じて表現しているのか、
体重移動はどうなっているのか
姿勢はどうなっているのか
そのような事が「基礎」になります

もちろん、基礎的なステップなども存在します。
ヒップホップで言えば、ランニングマンやクラブやロジャーラビットは基礎ステップになるでしょう。
ロックで言えばポイント、ロック、スクービードゥなど。
ブレイクで言えば6歩のフットワークとか、インディアンステップなどです。

当たり前の事であるが、物事は「基礎=ベーシック=FOUNDATION」の上に成り立っている。

カルチャーは最初から基礎があるわけではなく、成熟しつつある中で、体系化していく中で、何が基礎なのかとうことがだんだん明らかになっていくものです。
逆に言うと「基礎」が明確になっているものは、ある程度文化として成熟していると言う事も出来るかと思います。

ストリートダンスも、数十年という短い歴史の中ではなりますが、一定期間を経てカルチャーとして成熟してきているので、「基礎」というものが明確化していると言えます。

そして、その基礎の先に、「自分なりの踊り方=個性」が乗っかって発展していくものです。

 

一方世の中では、
基礎が全くない「振付=動きの順番」だけを教えている人や、
基礎に成り得ないような、「個人のクセ」を教えている人、
儀式のように基礎と言われる動作をやっているだけで、実際の踊りとリンケージしていない人などが沢山います。

自分の生徒にも儀式のようにレッスンを受けようとする人がいます。
工場のライン作業のように、流れ作業よろしくアイソレーションやリズムトレーニングをしようとする子供たち。

決まり事だから単にやっているだけで、練習の意味を全く理解せずやっている場合です。
自分はそういう子達にはしつこいほどに、正しいやり方を伝えます。
ダンスの練習は意味を理解しないと成果がでないケースが非常に多いです。
「とりあえず走っていれば体力はつく」といったような考え方が当てはまる事はほぼないでしょう。

 

正直に言うと、意味なんて分からなくても正しいやり方でできていればいいんです。
そして、基礎的な動きも、もともとできているならやらなくていいんです。本当に稀に、はじめから出来ている人もいます。
でもそういう人は、一般的な日本人の場合は1万人に1人いるかいないかなのではないかと思います。

ほとんどの人は、自分も含めて、リズムや体重移動など基礎的な動きをもともと持っていないから、これをトレーニングで体に染みつける必要があるわけです。

そしてこの、この基礎練習こそが将来的に伸びるための重要なキーなのです。

実際、よそのスタジオから自分のスタジオに来る子達で、
基礎が全くない人、
すごくクセのある踊り方が身についてしまっている人
などを沢山見てきました。

ダンスに限らずですが一度クセをつけてしまった場合、それを修正するには多大な労力を要します。
何もやったことが無い人はゼロからの出発ですが、
「間違った基礎」を身に付けてしまった人は、マイナスからの出発だからです。

まず、マイナスをゼロにする作業が発生します。

 

ダンスを習う時に一番大切なのは、最初の先生です。

「うちの子はダンス始めたばっかりだから、習うのはちゃんとした先生でなくても大丈夫。もう少しうまくなったら、ちゃんとした先生に習いに行きましょう。」

みたいな考えの方もいるかと思います。
思われていることはよく理解できますが、これは全く逆の話です。
最初こそ、きちんとダンスの事を深く理解している先生について、しっかりした基礎を学ぶべきです。
基礎を学んで、そして身に着けてしまえば、その後にクセがあるような先生に学んでも、基礎の上に「クセ」付け加えて自分なりに発展させていけると思います。

基礎がなくても出来るダンスもあると思います。
それはダンスを学ぶという事よりも、「振付(動きの順番)を覚える」という事になると思います。
そしてそれで十分という考えもあります。
それはそれで否定しておりません。

ただ、このようなダンスに対する考え方は、「カラオケ」にとっても似ております。

カラオケが好きな人はたくさんいると思いますが、その中で、歌を習いに行っている人はほとんどいないでしょう。
今日カラオケで歌った曲を明日はもっと上手に歌いからといって練習する人や、腹式呼吸のトレーニングをする人もほとんどいないでしょう。
カラオケは「自分が歌って楽しい」という事で十分だと思います。

ダンスも、「自分達だけで踊って楽しい」というのであればそれでいいと思います。
クラブで音楽に合わせて踊るとか、家で好きな音楽をかけて踊るとか、そういう事には何の定義も決まりもありません。
基礎もダンス道も関係ありません。
ただ好きなように踊ればいいだけです。

でも、人に見せる、見てもらうというシーンが発生するダンスに関していえば、先ほどのカラオケの定義を当てはめることは出来ません。
見せる側にも「良いダンスをみせる」という責任が発生します。

 

また、本来ダンスを通じて学ぶ事ができる
ダンス本来の素晴らしさ、
音楽とシンクロした時の幸福感
アートフォームとしてダンスを学んだ時の心の豊かさ
身体をコントロールすることによる運動能力の向上

などは、基礎の無いダンスでは身に着けることは出来ません。

 

同じお金を払って食事をするなら、
おいしい食事とか、
体にいい食事をした方がいいのは当たり前の事です。

 

ダンスも同じことです。

同じ時間をかけるなら、
是非将来のある選択をしていただきたいと思います。

ダンスを教える人は、自分の教えている内容が、教えている人の将来に寄与する教え方なのかを考えるべきであり、

ダンスを教わる人は、将来的に自分の糧になる内容なのかを考えて教わる場所を選んでいただきたいと思います。

「いいダンスレッスンとは」 Vol.4に続く

TO BE CONTINUED


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