いいダンスレッスンとは Vol.2

ダンスの先生は何を一番に伝えるべきなのか?

本当にざっくり言えば「ノリ」だと思います。
音楽に乗って楽しく踊る事です!
まずそこが第一歩ですが、

実はそこに我々日本人にとってはちょっと難しいポイントがあります。

その難しさを克服するのをサポートするのがダンスの先生の役割だと思います。

もう少しきちんと説明すると、

一番大切なのは「ダンスと音楽とのシンクロ」です。

これはダンスのジャンルに関係なく共通の真理だと思います。
(無音で踊るダンスに関しては話がぶれるのでここでは言及いたしません)

そして「ノリ」とはこの「音楽とのシンクロ」の一部で、ビートを追いかけて踊るストリートダンスの特徴とも言えます。

 

何故「ダンスと音楽とのシンクロ」を最重要に伝える必要があるのかというと、
それは、
「人間は、音楽とシンクロした時に言いようのない『幸福感』を感じるから」です。

リズムをとるのは簡単だよ!

と言っている人の「リズム」に関する理解が、自分の言うリズムのとり方とかけ離れている事が多く、この溝を埋めないとここで話している内容は理解していただけないと思います。

ビートの強いところを感じて、単純にその部分のリズムをとるという事は、多くの人が出来る事だと思います。
でもそれだけでは本当の意味での「音楽とのシンクロ」感は得られないのです。音が響いて消えていく間の「音の長さ」を感じ、
それに無意識で合わせて踊れるようになって始めて「強いシンクロ感」が得られるのです。

そして「強いシンクロ感」→「深い幸福感」へとつながっていくのだと思います。

人に見せる「アートとしてのダンス」には大切なことはいくつもあって、それが複合的に絡み合って構成されています。
だから、ダンスが上手くなるのに、この条件1つだけをクリアすればいいという話ではないです。
でもストリートダンスに関して言えば、この「ビートを基調としたシンクロ」が最も大切な事は疑いのない事実です。
そして、たいていの日本人は、自分も含めて、その正しい手法をもともと持っておりません。

それは、恐らく我々がストリートダンスで踊っている楽曲が海外からのものだからというのが主な理由だと思います。
要するにDNAレベルでは我々の体に刻まれていない、新しい情報に後天的に対応しているからだと思います。
もしかしたら、日本古来からある楽曲に対しては今持っている能力でナチュラルに対応できるのかもしれません。(これは検証していないので分かりません)

しかし、少なくとも、Hip Hop やR&BやFUNKミュージックに対して、ナチュラルに合わせていけるリズム感は一部の例外を除いて、現代の日本人にはもともと無いのだと思います。

ですから、我々日本人は「幸福感を強く感じる」レベルの楽曲とシンクロしたダンスは、トレーニングを経ないと得られないのだと思います。

そして、楽曲とのシンクロが薄い状態で手や足の動きを覚えても、結局音とはシンクロしていけないので、音楽とシンクロした時の幸福感を得られないのです。

何故人間は、音楽とシンクロした時に幸福感を感じるのか?

これは別頁でも書きましたが、我々人類がDNAレベルで体の奥底に刻み込まれた信号なのではないかと思います。
将来、脳科学の進歩で、この理由がとき明かされる時が来るかもしれません。
現状理由は自分には分からないけれど、これは人間が誰でも持っているものであると確信しております。

ダンスをやっていなくてもこの「信号」に従って、音とシンクロすることの楽しさを良く知っている人もいます。

自分の知り合いで、目黒でBARをやっている男は自身はダンサーではないけれど、その辺のダンサーよりずっと「踊り」が上手いです(笑)
彼はダンサーではないから、難しいステップや、セパレートされた体の動きなどは出来ないと思います。

でも、誰よりも楽しく踊る!
音楽と一体化する!!!
音楽と合わせた感情表現をする!

ダンスの基本、本質を全て体現しています

目黒のBAR TINA。いつも楽しすぎて帰れなくなります!

音楽やビートと深いレベルでシンクロしていない状態でもダンスの振付は出来ます。
そして、それでもいくつかの喜びは得られると思います。

例えば、
友達と踊っていて楽しい
ちょっと難しい振付を覚えて楽しい
かっこいい衣装が着られて楽しい

等の楽しさです。

ですが、やはりそれらの全てを総合しても、音楽とシンクロしていく楽しさは、比べ物にならないくらい大きいものだと自分は思います。

そして、それは一生持っていける財産になります。

だから、ダンスインストラクターの1番の仕事は、そういう音楽とシンクロした時の幸福感を皆に伝える事であると思っています。

振付や技術は、こういう基礎があってその上に乗ってくるものであり、それなくして技術や振付の順番だけ覚えてもいいダンスにはなり得ないのです。

これが、ダンスの(特にストリートダンスの)一番大切なことであり、先生が伝えるべき最も大事なこと自分は考えています。

ダンスを習う人は
先生やスクールがそういう事を考えてやっているのかどうかを見極めなければいけないし、

ダンスを教える人は、
生徒達が将来的に、より音楽と踊る楽しさを身に付けられるように意識してレッスンをしていかなければいけないと考えます。

「いいダンスレッスンとは」 Vol.3に続く

TO BE CONTINUED


関連投稿

いいダンスレッスンとは Vol.1

 

いいダンスレッスンとは Vol.3