2019年 全日本高等学校チームダンス選手権大会 Vol.1

高校ダンス部の日本一決定戦

全日本高等学校チームダンス選手権大会が、
2019年9月15日に福岡県北九州市の北九州メディアドームにて開催された。

今回はこの大会についての所感と各チームへの簡単な感想を述べさせていただきます。

1回目かから継続的にジャッジをさせていただく光栄に預かっておりますが、年々拡大しているこの大会、今回は観客も更に増え凄い盛り上がりをみせておりました。

また、ダンスの内容面を考えても、今年は特徴的だったと思います。
例年との違いを大まかに述べると、

① 全体的なダンスレベルが向上している
⓶ よりダンスにフォーカスした内容になっている

という事が言えると思います。

①に関しては、
年々レベルが上がってきている大会ではありますが、全体的に今年はレベルが高く、安心して見れる感じではありましたが、半面ジャッジはかなり難しかったのではないかと思います。

 

⓶に関しては、
演出や、衣装や、構成などもコンテストではもちろん大事な要素ではありますが、よりダンスにフォーカスした内容のチーム多く、とても喜ばしいなと感じました。
奇をてらった演出や、ド派手な衣装などではなく、「ダンス」を審査する大会というのは理想的だと自分は考えております。
逆を言うと、このあまりに当たり前の事が他の高校生のダンス大会では行われていなケースも多いのではないでしょうか。

要するに、この大会は、「ダンス」にフォーカスしたダンス部の高校生の皆さんと、ダンス部の顧問の先生方と、自分のようなプロとして活動してる人間が一緒になって作り上げている「ダンスコンテスト」という事が言えると思います。。

こんな当たり前の事をあえて書かないといけないという事はある意味嘆かわしい現状ではありますが、この大会が普及、発展していく事で、高校ダンス部がかかわるダンスコンテストの本来あるべき姿が世の中により浸透していってくれたら嬉しいです。

■大編成部門結果
優 勝 群馬県立安中総合学園高等学校(群馬県)
準優勝 桜丘高等学校(愛知県)
第3位 三重高等学校(三重県)
優秀賞 樟蔭高等学校(大阪府)
優秀賞 北九州市立高等学校(福岡県)
優秀賞 鎮西高等学校(熊本県)

さてここからは参加各校に対する簡単なコメントを書かせていただきます。
まず1回目となる今回は「大編成部門」より・・・

多くのチームが抱えている「リズムの取り方」については以下のYOUTUBE動画をご参照ください。

 

第9回全日本高等学校チームダンス選手権大会 大編成部門所感

01:叡明高等学校
テーマを持った作品が印象的でした。全体的には曲が変わりすぎかなと感じました。曲をガラッと変える場合は流れが止まるので作品としてのリスクも伴います。短い時間なので、極端な変え方はあまりしないほうがいいかと思いました。

02:上宮高等学校
チームのパワーを強く感じられました。ビートを早く追いかけようとして、一つ一つの動作を最後まで完結せずに次の動作に入ってしまうような傾向があると思いました。音に合わせて動作を丁寧に最後までやるととてもよくなると思います。

03:千葉県立四街道高等学校
音楽にシンクロしたパフォーマンスで、構成も面白かったです。音に関してはビート音に関して意識を深めると更にミュージカリティが上がり、よりよいパフォーマンスになると感じました。

04:大阪府立渋谷高等学校
音によくあった、音楽性の高いパフォーマンスと、美しい体のシルエットが印象的でした。ダンス的にはテクニックはまだまだ向上できると思うし、振付や構成も工夫の余地があるのかなと感じました。

05:武南高等学校
おもしろいコンセプトが印象的。腕の金色を活かした振付が効果的でした。ビート音はビートの余韻を意識すると音楽とのシンクロ性がより高まると思います。また体のシルエットやダンステクニックなどはまだまだ頑張れると思いました。

06:大阪府立柴島高等学校
リズムをとる場所がHIPHOPらしく、音楽性も高かったと思いますが、2曲目は若干音どりが走った感があったかもしれないです。テクニックやパワーもありました。オリジナリティが出せたらもっと良かったかなと感じました。

07:千葉県立幕張総合高等学校
衣装、背中の青色を効果的につかった振付が見事。構成も面白く、パワーも感じられました。体の動かし方、特に体重移動について深めると、よりよいダンスが踊れると思いました。

08:精華女子高等学校
チームの雰囲気も良く、構成もいい流れで、ストレスなく見られる作品でした。ダンステクニック面ではまだまだ伸びしろがあると感じました。チームならではのオリジナリティについても考えていただけたらなと思います。

09:大阪府立山本高等学校
パワフルな踊りが印象的。構成も面白かったです。音とのシンクロ性もありましたが、ビートの後の余韻の部分のFLOW(流れ)の表現がちょっと弱いと感じました。テクニックもまだ先があると思います。

10:愛知県立昭和高等学校
現代的なダンスで、かっこいい振付。振りのオリジナリティも感じられるいい作品でした。テーマに沿った雨合羽もよかったのですが、どこかで着たり、あるいは脱いだりなどの変化があったらもっと良かったのではないかと思いました。


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11:福岡県立ありあけ新世高等学校
音楽性の高さを感じられるパフォーマンスが素晴らしかったです。振付や構成もよかったのですが、反面オリジナリティはそこまで感じられませんでした。テクニックを延ばせば更によいダンスが踊れると感じました。

12:大阪府立箕面高等学校
チーム全体でのパワーが強く、構成も面白い作品でした。シルエットも含めテクニック面はまだまだ向上の余地ありと感じました。金のパンツは目立っていいところもありますが、照明の当たる舞台だと反射で踊りが良く見えないケースもあると感じました。

13:栄徳高等学校
構成や振付のオリジナリティを感じる作品でした。チームの雰囲気も良かったのです。ジャンル的にはビート音をより高く意識したほうがいいと感じました。音をとる場所、とった後の動作を意識するととてもよくなると思います。

14:千葉敬愛高等学校
一定以上のダンステクニックがあり、音楽性も高く良いパフォーマンスでした。パンツの色が効果的に作品を引き立たせていました。リズムをとるタイミングや、振付自体はまだ進化できると感じました。

15:羽衣学園高等学校
体の美しい線や、音楽性の高さは表現できていたと思います。全体の動きに意識がいってしまうせいか、1人1人の振付や踊りがあまり心にはいってこないなと感じました。見せ方次第でぐんと良くなる作品なのではないかと思いました。

16:三重高等学校
凝った構成と、パワー、チームの一体感が凄く感じられるダンスでした。ストリートダンス、LOCKという面で考えると、このダンスのもつフレイヴァーがあまり感じられないという面がありました。リズムの取り方(とる場所)や、体の姿勢が原因なのではないかと感じました。

17:樟蔭高等学校
大人数でのパフォーマンス、全体のオーガナイズとうい部分ではかなり優れた作品だったと思います。積み重ねた練習の成果が出ていると感じました。振付や、構成、オリジナリティ、技術面などはまだまだ向上の余地があるのかなと感じました。

18:二松學舍大学附属高等学校
全体的に見ると音楽とのシンクロ性はありましたが、ヒットという面で見ると、打ち方、音との合わせ方は研究の余地があると思いました。体の線の(シルエット)や、チームのパワーなどはよかったと思います。

19:関西学院高等部
基礎力があり、テクニックも一定レベルを超えているダンスでした。振付も好印象でしたが、構成面を工夫すると更にこの振りを活かせるのではないかと感じました。難しいとは思いますが、オリジナリティ面も考えるといいと思います。

20:北九州市立高等学校
リズムの取り方、リズム後の流れ(ビートの余韻)部分もよく、全体的に音楽性の高い踊りでした。構成の仕方も面白い作品でした。テクニックをもっとつけると見せ方の幅が更に広がると思います。



21:広陵高等学校
パワーとチームの一体感がある作品でした。全体的な音楽へのシンクロはありましたが、リズムの取り方は、流れが切れている印象がありました。基本ムーヴの形や姿勢などは、ファウンデーションを研究し学ぶとより良くなると思います。

22:沖縄県立八重山高等学校
チーム全体のパワーや構成力のある作品でした。音楽とのシンクロ性も感じられました。リズム面は取り方や余韻部分は向上の余地があると思います。姿勢、シルエット等を研究すると全体の見え方が更によくなると思いました。

23:大阪府立久米田高等学校
振付、構成がよく、オリジナリティもあり、作品全体から受けるインパクトはかなり強かったです。基礎力もあると感じましたが、テクニックはまだ延ばすことができるのかなと感じました。

24:桜丘高等学校
オリジナリティのある振付で、構成力もあり、面白い作品でした。テクニック面はまだまだ伸ばせると感じました。またリズムの取り方は、もう少し後ろの方がHIPHOP的にはいいのではないかと感じました。

25:大阪府立金岡高等学校
パワーやチームの一体感、体の線の出し方などがよかったです。構成もよかったと思いますが、振付はもう少し工夫できるのかなと思いました。テクニック面を向上させると更にいいダンスになると思います。

26:群馬県立安中総合学園高等学校
踊りや構成、リズムの取り方やダンステクニックなど、全体的なバランスが高いレベルで安定しているダンスでした。HIPHOPフレイヴァーもありチームの雰囲気がとてもよかったです。

27:鎮西高等学校
ストーリー性のある作品で、興味深い内容でした。音楽性や振付、構成も含めて全体的なバランスがとてもよかったと思います。リズムのとり方は若干後ろでもいいのかなと感じました。

 

End Of This Story
To Be Continued

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