俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.061
特別に用意してもらった大切な時間!
ドイツで開催された国際的なブレイクのバトルイベントBattle of The Year 1999にスイスと日本の連合チームで参戦した我々、The Spartanic Rockes。
ショーケースを無事終えた我々はバトル以外にもう一つ、とても大切な時間が待っていた。
それは、亡くなったメンバーJOの追悼イベントであった。
今回は、BOTYの主催者トーマスの厚意で、特別に追悼のコーナーの時間を作ってもらったのだ。
我々スパルタニックロッカーズのメンバーは舞台にあがらせてもらい、俺は、マイクを借りて満場の観客、そして参加チームの前で、彼への思いをスピーチさせてもらった。
「俺たちは、スイスのメンバーと日本人のメンバーで全員でこの大会に出るのが夢だった。そしてJOはこの世を去ってしまったが、今、我々と一緒にこの舞台に立っている。」
・・・というような内容だったと記憶している。
そしてスピーチの後はJOの追悼の為に作ったメモリアルビデオを上映してもらった。
舞台の後方に位置するスクリーンに映し出されたJOのビデオ。
俺も含めメンバーは舞台に座り、観客に背を向ける形でJOの映像を見ていた。この追悼ビデオでは、俺たちがよく一緒に聞いていた
“The Isley Brothers”の”The highway of my life”という切ない楽曲に合わせて展開されている。
スクリーンに向かっていた自分は、
ふと観客の方を振り向くと、その光景に驚いた。
多くの観客が手に手にライターをもって火をつけ、
ゆっくりと音楽に合わせて手を振っていたのである。
暗闇の中で音に合わせて無数に揺れる炎。
日本では絶対にありえないこの光景に俺は驚き、また感動した。
会場全体がJOの死をいたみ追悼の気持ちを表現してくれていたのである。
こんな素晴らしい時間をくれたトーマスと、追悼に参加してくれた観客には心から改めて心から感謝したい。
さて、この大事な追悼の時間を経て、いよいよBEST4、バトルに残るチームの発表の時間がやってきた。
まず3位決定戦を行うチームは
BAG OF TRIX(CANADA)対FAMILY(FRANCE)
そして優勝決定戦を行うチームは
ROCK FORCE CREW(U.S.A.) 対 SUICIDAL LIFE STYLE(HUNGRY)となった。
我々Spartanic Rockers は残念ながら目指していたバトルでの優勝をかけた舞台に立つことはできなかった。
しかし、この時の自分は、とてもすがすがしい気持ちがあった。
それは、「やり切った」という充実感、達成感であった。
とりあえず大変な環境とスケジュールの中、スイスと日本のメンバー全員でこの舞台に向かう事が出来た。
そして満足のいくショーを行う事が出来た。
バトルには残れなったが、自分たちのやってきた努力と成果に対しては一点の後悔もなかった。
「やり切った」 ・・・これが俺のその時の感想であった。
さて、ここからは、残念ながら、俺も一観客としてファイナルのバトルを見ていく事となる。
まずは3位決定戦
BAG OF TRIX(CANADA)対FAMILY(FRANCE) の一戦である
ここではBOTY史上において初めてとなる事件が勃発する。
舞台にあがった両チーム。
MC がバトル開始の合図を出し、DJが音をスタートさせたその直後、なんとFAMILYのメンバーはバトルをボイコットし、舞台から降りて行ってしまうのである。
FAMILYは前述したように、98年の決勝戦でアメリカのROCK FORCE に強い遺恨を持っていた。
彼らは妥当ROCK FORCE をかかげ、この大会に臨んできたのである。
ところが、FAMILY は決勝に残らず、3位決定戦となり、しかも相手がBAG OF TRIX となって、彼らの意向が果たされないこととなった。
という事で、史上初、バトルをボイコットし、舞台から降りて行ってしまったのである。
この行為、大会に対しても、BAG OF TRIX に対しても大変失礼な行為で、俺は怒りを感じながらこの状態を見守っていたのであるが、次には更に驚くべき事態が起こった。
なんと舞台に取り残されたBAG OF TRIX のメンバーが2手に分かれて、チーム内バトルを始めるのである!
この彼らの行動!!!
動揺することもなく(本当は動揺していたのかもしれないが)すっと2手に分かれてバトルを始める彼らの対応に俺は感動した。
果たして自分達だったらどうしていただろうか?
恐らくなすすべもなく、舞台にひたすら立ち尽くしていたことだろう。
彼らのこの素早い対応に会場は拍手。
そしてそこにジャッジ達が飛び入りで加わり、
この時間は、ジャッジ+BAG OF TRIX のエキジビジョンバトルが展開されることになった。
勝敗ではなく、自分達をリプリゼントするための踊りである。
素晴らしい!
HIP HOP!!
感動とともに、そう感じた時間であった。
さて、そんな素晴らしい彼らのエキジビジョンバトルを経て、いよいよ決勝のカードとなる。
アメリカのROCK FORCE CREW 対 ハンガリーのSUICIDAL LIFE STYLEの対決である。
この時、自分も含めて多くの観客は前年度のチャンピオンROCK FORCE CREWの勝利を予想していたに違いない。
しかし結果を先に言ってしまうと、我々の予想は大きく裏切られることとなる。
正直言ってSUICIDAL LIFE STYLE はROCK FORCE のように目立った存在ではなかった。かなり高いパワームーヴのスキルを持っていることは知っていたが、最新のムーヴを多用し、勢いにのるROCK FORCE には到底かなわないだろうと思っていたのである。
ところが、このバトルは俺の人生においても非常に印象的な一戦となった。
その結果、だいぶ後になって深い気づきを得る事ができるが、この時はその重要さにまでは思いが至らなかった。
この一戦は2つのB-BOY CREW の戦いではあったが日々の生活も含めて、国やカルチャーを反映した戦いであった。
まず、優勝候補筆頭であったアメリカのROCK FORC CREW 。
このチームのムーヴはいずれも「新しい」ものである。
もちろん過去からの動きを踏襲している部分ではあるが、他の人がやってこなかった「新しさ」がキーワードとなっていた。
一方のSUICIDAL LIFE STYLE は、「全てのムーブが既知のもの」であった。
要するに見たことがないような新しいムーヴはほとんどなかったと言っていい。全て誰かがいままでにやってきた動きであった。
では何故彼らが優勝したのか。
理由は明白であった。
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To Be Continued
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