俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.026
用意された罠(ワナ)
イギリスのバトルイベント”UK B-Boy Championships”。
もくろみ通り決勝大会に駒を進めることが出来た我々Spartanic Rockers(スパルタニックロッカーズ)。
バトル、序盤で出したGOとJOのルーティーンは、流れを確実にSpartanicサイドに持ってくる内容だった。
2人のコンビネーションに対するはスタイルエレメンツ、Boogie-T。
ストリー性を感じるムーヴで応戦だが、若干インパクトに欠ける。
そこに飛び出すはTSUYOSHI!!
相手をおちょくる流れから、ヘッドスピン→1990へのつなぎだが、パワームーヴはTSUYOSHIらしからぬミス!
対するは天才リマインド。
ヘッドスライドから、ウインドミル→ヘッド→1990と、TUSYOSHIの流れをトレースしたMOVE FOR MOVEでの応戦。
最後はヘイロー→2000と、普段スタイル中心のリマインドにしては珍しい展開を見せる。
しかも上手い!
間髪入れずに応戦するJO!
出るタイミング、勢いはあるが、コンビネーションでクラッシュ!
本来のJOの実力では考えられない内容。
一つ前のTUSYOHSIのターンも同じである。
バトル開始からずっと勢いよく飛び出していくJOとTSUYOSHIのコンビであるが、実はこの時の2人にはいささか問題があった。
それは、Story23で書いた前夜祭が原因である。
彼ら2人は前夜祭で盛り上がり、想像以上に踊りまくったので、実はこのバトル本番当日は筋肉痛で本調子ではなかったのである。
本番に照準を合わせて調整することなど、この若く、血気盛んな2人には無理な話であった。
その為この日の2人のムーヴは通常の実力よりもちょっと割り引いたような状態であった。
俺の見た感じでは、特にJOはかなりムーヴの成功率が下がってしまっていたような気がした。
そんな事情と関係なくバトルは進んでいく!
それでも、俺の体感的には、一度ロックした観客のハートはまだSPARTANICサイドにあったと思われる。
次にCRUMBSが再び登場し、驚異のスローモーションムーヴを見せる。
足をダイヤの形にキープしたまま(足の裏と裏をくっつけた形)スローモーションでのヘイローを始める。
その後スピードアップしてトーマスフレアーにつなぎ(これも足はずっとダイヤの形のまま)フリーズを決めると言う、超ハイレベルなムーヴをやってのける。
このスローモーションムーヴを見事に返したのはSpartanic最年長の佐久間さん。
ゆっくりと地面に伏せるように倒れ込むと、スローモーションで浮遊するように動き始める。
この時のバトルは、今考えてもあらゆるタイミングがSpartanicの勝利に加担したと思う。
佐久間さんがフロアーに躍り出たこの瞬間も狙ったように曲が一端ブレイクし(音が静かになること)ヴォーカルだけに。
スローモーションのムーヴとこの音が絶妙にシンクロする。
そしてDJイスラムのシャウト!
JAPANが勝つのか?
U.S.A が勝つのか??”
観客のテンションは益々ヒートアップ!!
曲がブレイクを終了し元の厚みを取り戻した瞬間、佐久間さんは見事にPopのムーヴに移行していく。
ダンス本来の、音とのシンクロはバッチリ過ぎる!!
これがベテランのなせるわざ!!!
さぁやって来た、ここからがPopのバトになるに違いない。
スタイルエレメンツにはPopperは1人しかいないから、当然この機会を逃すはずはない。
俺の心は高鳴る。
そして予想通り、エレメンツただ1人のPopper、TomyBoyが悠々とフロアーに登場。
想定通りの展開である。
TomyBoyが出てきたら、俺達には用意した展開が待っていた。
佐久間さんのPOPから始まるバトルの流れは、
我々が周到に用意していたトラップ(罠)の始まりであった。
作戦その1:派手な登場返し
俺とTSUYOSHI2人が向き合って手を組み、その組んだ手の上からGOを空中高く飛ばしてフロアーに出し、相手の度肝を抜くという作戦。
この展開に予想通り会場はバカ湧き!!
植木豪 この男は、観客の心を操作する術を良く知っている。
特にこのバトルターンでの彼の動きはMAX素晴らしかった。
GOがムーヴをかます度に、観客にアピールする度に、会場は沸きに沸いた!!
GOのムーヴに再びTommyBoyが返してくる。
しかしこれも完全に予想された展開であった。
相手は正に、俺の考えた通りの落とし穴に、自分から入って来る!!
OK、待ってました。
作戦その2:ルーティーン返し
2度目に返してきた時は、GOと俺のPOPのルーティーンで返すというシナリオが既に出来ていた。
エレメンツにはPopperは1人しかいないから、当然これで相手は返すことは出来ないので俺達のポイントになるという作戦である。
しかしここで予想しなかったハプニングが起きる。
ルーティーンの途中で音が止まってしまったのだ。
それは、バトルのタイムアップ(時間切れ)を意味していた。
俺達のルーティーンはまだ序盤であった。
このタイムアップを受けて、エレメンツのメンバーがDJイスラムに抗議!
何で音を止めるんだ!
もっとバトルをやらせろ!
まだまだ終わっちゃいねぇーぜ!!
DJをやっていたイスラムもマイクで返す。
おい、文句言うんじゃねぇ!
タイムアップだから止めたんだぜ。
まだやりたいのか?
レコードもう一枚分、バトルを続けるか?
観客もこの展開に更に盛り上がりを見せる!
“OK、ONE MORE MOTHER FU**N RECORED !!”
イスラムの返答で、バトルは再び始まることに。
しかしながら、このタイムアップが更なる幸運を俺達にもたらす事は、
この時、俺も含め、誰にも予想できなかった。
End of The Spartanic Rockers Story Vol.026
To be continued
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