俺たちSpartanic Rockersの
波乱万丈な Story vol.015
いざ、決勝バトル!!!
さて、俺たちの後もしばらく他のチームのショーが続き、そして審査員協議の時間を経ていよいよ結果発表となった。前述したとおり、参加チームの中からピックアップされるのは上位4チーム。上位2チームに選ばれなければ、優勝は無い。
そして、優勝決定戦に向けてアナウンスされたチーム名は、フランスのエクストリーム、そして・・・・
Spartanic Rokcers!!!!!
スパルタニック・ロッカーズは俺のもくろみ通り優勝決定戦に駒を進めることが出来た!!
さぁいよいよ優勝決定戦。
バトルの始まりである。
しかしながら、実は敢えて正直に告白すると、俺はバトルに関する策は全く練っていなかった。国を超えて初めて集まるメンバー同士、そして限られた時間の中での練習ではショーをまとめあげるのにも時間が足りなかったぐらいであり、バトルに向けての準備をする時間も心の余裕も全くなかった。
後は普段のスキルに頼って当たって砕けるだけだ!!
相手はフランスのEXTREEMEというチーム。メンバーのほとんどが筋骨隆々のイカツイ黒人達。まず見た目で威圧される!
ツヨシはその見てくれに圧倒されてちょっと引き気味(笑)
そして相手は7人、こっちは5人。Spartanicはこの後もある理由から常に人数的には厳しい状況の中戦い続けて行くのだが、人数的不利はこの初回のバトルから始まっていた。
でもやるしかない!
DJがスタート ザ バトルミュージック!
Ahhhhh !!
こんな時にDJがチョイスしたのは、俺が愛して止まないJBの曲だった。
俺は相手の反応を待たずして、いの一番にフロアーに踊り出していた。
「見た目もワザもイカツイ黒人のB-Boy達を相手に、何も知らない異国の地で、この人はなんでこんな自身満々に踊りだせるんだろう・・・・」
だいぶ後になって聞いた話だが、フロアーに最初に踊り出でた俺を見てツヨシは心の中でそう思ったらしい。
その時の俺はアウェイであるゆえの逆のアドバンテージを感じていた。
「この会場にいる人間は1人として日本人の踊りを見たことが無いに違いない。だったら日本人の踊りを見せてやろうじゃないか!」
俺の心の中はそんな気持ちで一杯だった。その上俺の大好きなJBがかかったらもう踊るしかないでしょ!!
こうしてバトルはスタートした。
フランスチームが宙返りをあわせるなど、ルーティーンとも呼べないレベルのとても簡単なルーティーンを出してくる。
俺から見れば「それがどうした?」というレベルであったが、そんな俺の気持ちと裏腹に、会場の反応は予想以上によい。
一方のスパルタニックはノールーティーン。
ソロのみの応戦になる。
正直言ってパワームーヴのレベルは向こうの方が上だった。人数や体力面ももちろん向こうの方が上。それでも善戦したと思う。ゼンソク気味のRemyは途中で息苦しくなり、Montyしばしのブランクのせいで本調子では無く普段のスキルを100%は出せていなかったが、それでもかなりの頑張りを見せる!
俺はスタイル中心で、ツヨシはパワームーヴメインで気合のダンス!
佐久間さんはお得意のLockin’そしてFunyなスタイルのPoppin’で応戦。さすがベテランのキャリア!PopやLockの知識の無いヨーロッパの土壌において、佐久間さんの見せる踊りは驚異的だったに違いない!
とりあえず、やるだけやった。
そして迎えるジャッジタイム
結果、優勝は・・・・
EXTREEME!
優勝はフランスのエクストリーム
我が”Spartanic Rockers”は残念ながら優勝を逃すことになった。
結果は残念なものだったが、俺的には満足な成果だと言えた。
世界の舞台で結成間もないチームが、そして日本人が、はじめてヨーロッパの地で実績をあげたのだ。日本という極東の島で、ブレイキングをやっている奴らがいるという事を、ヨーロッパの地に多少なりとも知らしめる事ができた。
それだけでも十分満足出来る成果ではないか。
それにこの言葉も通じない凸凹メンバーを3日の練習でまとめ上げるのは本当に大変だったんだから(笑)
イベント全てのスケジュールが終り参加したB-Boy達はバーカウンターのまわりに集って、親好を深めていた。
と、その時、レミーが俺を自分の方に引きよせてに耳うちをした。「タケオ、あそこにいるのがBattle Of The Yearのオーガナイザーのトーマスだよ。」
俺にとって今回の旅の目的は、ヨー口ツパの地に自分達の名前を知らしめ、BOTYに出場する足がかりを得る事だった。
ところが、足掛かりどころが、急に直談判のチャンスが訪れた!
俺はレミーに目くばせをすると、談笑するB-Boy達をかき分けて、トーマスのもとに歩みよった。そしていきなり話しかけた「ハ口一。俺はSpartanic RockersののTAKEOだよ。」
トーマスは友人との会話を止めて、俺の方を見た。
「ハ口一。僕はトーマスだ。」ドイツ人である彼は、とても聞きとり易い英語で返してくれた。そして、「君達のパフォーマンスは本当に素晴らしかったよ。」と褒めてくれた。そこで俺は唐突に切り出した。「俺達をBattle Of The Yearに出してくれないか?」
一瞬息を飲んで彼の返事を待つと、彼は即答で
「OK、君達ほど実力があるチームなら全く問題ないよ。是非参加してくれ。」と答えてくれた。
俺はその答えを聞いてRemyと微笑みあった。
これで今回の旅の最大の、そして最終の目的は、いくつも予想される段階を全部すっ飛ばしていきなり実現された。
スイス、日本の初のコンビネーション
大会初参加にして2位の実績
そしてBOTYへの参加の内定
あらゆる面で満足の行く結果を出せた。
強行スケジュールを終えた俺達はメンバー同士喜びを分かちあい、祝杯を上げた後、すぐに帰国の途についた。俺達は前途洋々、輝ける未来に胸を膨らませつつ、今回の実績を噛みしめ、凱旋帰国する事が出来たのだった。
この後に待っている意外な展開については、この時は想像することもできなかった。
End of The Spartanic Rockers Story Vol.015
To be continued
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