B-Boy界の革命児 KRAZY KUJO

今回話を聞くのは、

B-Boyの世界に新たなムーヴを持ち込んだ男
KRAZY KUJO

自分が初めてKUJO を見たのは98年のドイツ、アルティメットビーボイセッションであった。
そのあまりの予想外のムーヴの数々に口をあんぐり開けてしまうような衝撃を受けたのをよく覚えている。
B-BOY KUJO のムーヴは、当時のB-Boy界に衝撃を与え、その進化に確実に貢献した!
今回は、そんな彼とB-Boyingとの関りについて聞いてみた。

 

TAKEO:ダンスはいつ始めましたか?また始めたきっかけは何ですか?
KUJO:僕は1992年の5月、15歳の時にダンスを始めたんだ。
その当時Hip Hop Dancer がアメリカで良く着ていた
「クロスカラーズ」という服を着ていたら、
同じ高校のダンスをやっている奴が、それはダンサーの服だぜって教えてくれたんだ。
それがきっかけで僕は彼らと友達になり、ダンスのやり方を教わるようになったんだ。
最初はニュースクールヒップホップのダンススタイルからはじめて、
次に簡単なブレイクのムーヴをやるようになっていった。

自分とブレキングの本当の出会いは、
当時行っていたヒップホップショップというお店だ。
そこにはAir Force Crew(エアフォースクルー)、 Rock Steady(ロックステディ)、
LA Breakers(エルエーブレイカーズ)などのメンバーが来ていたので、
彼らの何人か自分にとっての先生になったし、または友達になったりしたんだ。
参照:超絶パワームーヴ集団 Air Force Crew

TAKEO:最初から今のようなオリジナリティのあるダンススタイルをやっていたんですか?
KUJO:最初、自分は一般的なB-Boyスタイルの基本的なムーヴをやっていた。
6歩や3歩のフットワークとか、基礎的なフリーズとか。
パワームーヴもタートル(自分にとっての最初のパワームーヴです)
とかスワイプ、ウインドミル、トーマスフレア、ドリルなど、
一般的なものをやっていたよ。

タートルは最初とっても難しかったけど、
ちょっと練習したらとても上手になったんだ。

 

TAKEO:あなたのやっているスタイルは独特ですが、スタイルに名前を付けていますか?
KUJO:自分のスタイルには名前はついていないよ。
自分の好きなように踊っているだけさ。
でも、僕は上半身の力を使うムーヴにフォーカスしてやっている。
上水平のようなフリーズだけでなく、
パワームーヴとか、フットワークに至るまで、
上半身のパワーに焦点を当てたムーヴをやるようになっていったんだ。
フットワークも足を床につかない
(自分はそれをフットレスフットワークと名付けた)というのをやっていた。

TAKEO:B-BOY の体験の中で思い出に残るストーリーがあったら教えてください。
KUJO:自分にとって最悪の経験は、98年12月に自分のチーム
Soul Control(ソウルコントロール)とドイツに
アルティメットビーボーイセッション3に旅した時の事さ。
僕達はアメリカから到着したら、トイレットペーパーもない汚い部屋に6人押し込められた。
次の日イベント当日は、バトルのある会場まで、
なんと、バスで9時間の移動。
前の日にほとんど寝られなかった僕たちは、バスの中で寝たのだが、
会場についても食事も水も与えられず、
そんな状況でエキジビジョンバトルをしなければいけなかった。
僕達は疲れ過ぎていて、あまりいいバトルが出来なかったよ。
バトルは伝説的なバトルとなったけど、自分達からすれば、
とても誇れるような内容ではなかった。
ありがたいことにこの経験を経たのちは、
どんな状態でもこの時よりはいいと思えるよ!

 

TAKEO:Soul Controlというチームの由来を教えてください。
KUJO:Soul Control(ソウルコントロール)は、
LAのSoul Swift (ソウルスウィフト)と
Floor Control(フロアーコントロール)
というチームの合体でできたチームなんだ。
僕がFloor ControlのリーダーでBabakがSoul Swiftのリーダーだった。
僕たちは特にパワームーヴに関しての創造性や、
オリジナリティのアイデアが似ていたので、
よく一緒に練習をしていたんだ。

ある時僕たちは2つのチームを1つにしようかと、
最初は冗談で言っていたんだけど、だんだんマジになってきた。
それで僕たちはチームの名前を持ち寄ってSoul Controlにしたんだ。
何故なら”Floor Swift”よりもゴロがよかったからね。
そして僕たちはSoul Controlとして初めて、
96年の2月に行われたRadio Tronに参加したのさ。


インタビュー後記
B-Boyの世界に今までになかったスタイルを提唱した人物の1人。
それがKUJOである。
上水平を代表とする様々なムーヴがB-Boyingの世界に取り入れられたのは彼の功績と言って間違えない。

その不思議な動きの数々は、
当初、B-Boyngではないんじゃないかと、揶揄する人達も多かった。

大分後になって知ったんだが、彼は片耳の聴力が無いようだ。
それを最初は人に隠していたらしい。
その後彼は、障害を持つB-Boy達の集団である
ILL-Abilities
にも参加して、自分の障害を公にする事となる。

https://www.illabilities.com/

ある時、24時間テレビの企画で、ILL-Abilitiesが嵐と共演し
共に踊るというコーナーがありました。
自分はそこで振付を担当させていただく事になり、
そこで初めて、KUJOがこのクルーのメンバーであるという事を知る。
その時も、彼に身体的な障害があるとは思ってもいなかったので、
なんでこのクルーに参加しているんだろうと不思議に思ったものだ。

そんなKUJO、最近ではポールダンスへも進出。
持ち前のパワーとバランスを活かして、
KUJOならではのムーヴを見せてくれる。

これからも彼の進化と
新たなムーヴのクリエイトを期待していきたい。